この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
借地上の建物の居住者からの相談です。建物は築60年以上の古い建物であり、老朽化が進んでいました。また、ご相談者様は、この建物において、妻子と同居しています。ご相談者様が地主に対して、この建物を取り壊し、新しい建物を建築することを許可するよう求めましたが、地主は、これを許可せず、建物を収去して土地を明け渡すよう請求してきました。ご相談者様は、地主から立退料を支払うとの提案も受けましたが、提案された立退料の金額では、ご相談者様が別の土地で家を建てることができませんでした。
解決への流れ
ご相談者様と地主との交渉は決裂しました。その後、地主は、ご相談者様に対し、建物を収去し土地を明け渡すことを求めて、訴訟を提起しました。地主は、建物の朽廃により借地権が消滅していること、また、(借地権が消滅していないとしても)借地契約の更新拒絶に正当事由があることを主張しました。当職は、建物の朽廃及び正当事由に関する多数の裁判例及び文献を読み込んだ上、建物が朽廃していない旨及び正当事由を具備していない旨の反論を行い、その結果、地主がご相談者様に立退料3000万円を支払うという勝訴的和解により訴訟を終了させることができました。
建物は築60年以上の古い建物であり、建物に実際に入ると、確かに老朽化が進んでおり、一見すると、地主側の主張にも合理性があるようにも思えました。しかしながら、建物の朽廃に関する多数の裁判例及び文献を読み込み、ご相談者様の建物を検証すると、老朽化が進んでいるとはいえ、建物の朽廃により借地権が消滅したとまではいえないと考えるに至ることができました。このことを裁判所に丁寧に説明した結果、立退料3000万円により和解することができ、ご相談者様は、別の土地に新しい建物を建築することができました。