この事例の依頼主
50代 男性
相談前の状況
依頼者は,若い頃に覚醒剤を使用して以降,止めることが出来ずに,刑務所を出たり入ったりの生活を繰り返していました。依頼者は,警察署で接見した際,本当は覚醒剤を止めたい気持ちであることを涙ながらに語ってくれました。法律上,実刑判決は避けられないものの,依頼者の希望により一部執行猶予判決を獲得することを目標にしました。
解決への流れ
一部執行猶予判決は,判決の刑期の一部を実刑とし,その残りの刑期の執行を猶予するものです。刑務所において再犯防止のための処遇を受けるだけでなく,早期に社会復帰して社会内において再犯防止・改善更生を促すことを目的とします。社会に早期に復帰できるのがメリットですが,社会復帰後にも保護観察所の監督を受ける必要があり,全部実刑判決を受けて出所した場合よりも,公的機関による干渉を受ける期間が長くなるのがデメリットとも捉えられます。依頼者にもメリット・デメリットを伝えたうえで,その更生意欲を確認し,被告人質問および弁論で一部執行猶予を獲得できるような弁護活動を心掛けました。
質問者の更生意欲を酌んでもらうことができ,一部執行猶予判決となりました。また,本件では,親族も更生のために助力することを約束してくれたことが大きかったと思います。覚醒剤はとくに依存性が高い薬物ですが,依頼者には社会復帰後には二度と覚醒剤には手を染めずに生活していってほしいと思います。