この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
土地の賃貸人が、賃借人から相続を機に借地の返却を検討しているが、賃借権を買い取ってほしい、ダメならば借地権の第3者への譲渡も検討するといわれ、法的に何が正しいか、どうすればよいか分からないという状態となりました。そこで、賃貸人であるご相談者様からご依頼を受け賃借人と交渉を行うこととなりました。
解決への流れ
ご依頼者には、①借地権には経済的な価値があること、②借地権の譲渡には賃貸人の許可が必要だが、それを拒否しても裁判所が一定の承諾料と引き換えに許可を認めるケースが多いことなどをお話しし、当然に更地にして返却を求めることができるわけではない旨の説明をしました。また、一方で、ある理由から借地人の方で、最終的には、更地にして返却したり、建物の撤去費用だけ借地人が負担して借地を返却するケースも多いことの説明をした上で、依頼者様側でも柔軟な対応・検討をすることを前提に、私が、借地人と交渉することとしました。
交渉の結果、借地人が建物を撤去した上で、依頼者様において借地権の買い取りなどをすることもなく土地の返還を受けることができました。交渉においては、借地人にとっても借地権の譲渡が必ずしも簡単なことではないことを説明して説得をしました。本件は、うまくいった事例ですが、依頼者様には都合のいい話だけではなく、法的にはどうなるのか、最悪の場合どのようなことになるのか、有利な点と不利な点を考えると、どのあたりを落とし所をすべきかについて率直に説明することを心がけております。そのほうが、依頼者様としても合理的な判断が下せますし、また、依頼者様と私とで同じ方向を向いてスムーズに事件に当たれると考えております。