犯罪・刑事事件の解決事例
#加害者 . #暴行・傷害

深酒してタクシーの運転手を殴り、怪我をさせたサラリーマンから依頼を受けて、示談を成立させた事案

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小出 康夫 弁護士が解決
所属事務所小出康夫法律事務所
所在地東京都 台東区

この事例の依頼主

20代 男性

相談前の状況

会社の新年会後、同僚友人と二次会三次会とはしごをし、最後の居酒屋を出たのが、深夜1時頃。店を出て、徒歩で自宅に向かったが、どのような経路をたどったか記憶がない。自宅間際まで来たところで、後ろから来たタクシーの運転手に道路を空けるよう注意されたのに腹を立て、車を降りてきた運転手と口論の末、顔面を2~3発殴ってしまった。運転手は、左耳と左頬さらには左腰部に打撲傷を負った。たまたま通りかかった土木作業員の方に取り押さえられて、110番通報。駆けつけた警察官に逮捕されて、警察署に連行。運良く勾留されずに済み、翌々日に釈放された。タクシーの運転手と示談をしようとしたが、被害者から面会を断られてしまい、なんとか示談を纏めて欲しいと相談来所された。

解決への流れ

本人は、泥酔していたため、最後の店を出た以降のことはほとんど覚えていない。しかし、タクシーの運転手を殴って怪我をさせたことは間違いない事実。本人から、弁護人選任届けをもらい、東京区検の副検事に架電した。被害者は、本人とは会いたくないが、弁護人であれば話をしてもよいとのこと。さっそく、検察官から被害者の連絡先を聞き、面会の約束をした。被害者の自宅近くの喫茶店で、1回目の面会。被害者は、怪我はだいぶ良くなったが、まだ耳鳴りがし、後遺症の不安もあると訴えた。被害者は、早期の解決を望んではいたが、現時点で示談をするわけにはいかない。再度診察を受け、十分な治療を受けることをお薦めした。当然のアドバイスである。3週間ほど後、被害者から、怪我はほぼ治癒し、後遺症の心配もないと医師から診断を受けたと連絡を受けた。そこで、再度面会をし、診断書を拝見するとともに、被害者が希望する示談金の金額を聞いた。治療費、休業損害、慰謝料等合わせて、金28万数千円を請求された。加害者は普通のサラリーマンであり、給与額は20万円台、預金はほとんどないこと、本人は十分に反省していること、これまでに一切の前科前歴がないことを説明した結果、金28万円で示談してもよいという回答を得た。さっそく、本人に伝えたところ、当職の値引交渉に感謝するものの、自分が悪いのは間違いないし、もう二度とこのようなことはやらない誓いを込めて、金30万円で示談したいと伝えて欲しいとのこと。被害者にそのままお伝えしたところ、そのような気持ちを持っているなら安心ですと言っていただき、無事示談が成立した。

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小出 康夫 弁護士からのコメント

楽しいはずの会社の同僚との宴席を重ねた結末が、傷害事件を引き起こし、人生初の逮捕を経て、留置場行きになってしまった。幸い早期に釈放されたため、会社に事件のことを知られずに済んだ。本人は、深く反省しており、しばらくの間は好きな酒を控えると約束した。自分の愚行を心から悔いている様子がひしひしと伝わってくる好青年であった。なんとか早期に大事なく解決してあげたいとの思いで、全力を挙げて弁護活動をした。最終段階で、当職が交渉で妥結した示談金に、自ら反省の気持ちを込めて金額を加算することを申し出たのには驚いた。このような加害者は初めてである。でも妙にさわやかであった。被害者も、加害者の再起更生を願っているとおっしゃってくれた。事件終了に際して、一服の清涼感が漂った事件であった。