犯罪・刑事事件の解決事例
#被害者 . #痴漢

痴漢の被害者の父親から依頼を受け、加害者から高額の示談金を取得した件

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小出 康夫 弁護士が解決
所属事務所小出康夫法律事務所
所在地東京都 台東区

この事例の依頼主

50代 男性

相談前の状況

朝の通学時、都内の私鉄車内で、高校2年生の女子学生が痴漢の被害を受けた。毎週同じ乗車駅で待ち伏せをされた上、車内でスカートの中に手を差し入れ性器部を掴まれたり、おしりを触られたりした。意を決した女子高生が、友人の男子学生2名に同行してもらい、車内でスカートの上から臀部を掴もうとした60代の男性を捕まえた。逮捕当日の取調では、当日の痴漢行為しか警察官に話ができなかったためか、加害者の男性は、勾留を免れ、逮捕の翌日に釈放された。女子高生の父親が、警察の対応に納得できないと、被害に遭った娘を連れて相談に来所された。

解決への流れ

加害者はすでの東京区検に送検されていたので、さっそく副検事に架電をした。被害者の女子高生は、被害当日混乱していたため、逮捕当日の痴漢行為しか警察官に被害を訴えていないらしい。本人と父親に対して、すみやかに警察に連絡をし、本件に先立つ4件の余罪についても被害届を出すようにアドバイスした。加害者は私撰弁護人が就いていた。弁護人の希望もあり、弁護士会館において面会した。案の定、加害者は、捜査機関や弁護人に対して、当日の痴漢行為しか話をしていないことが判明。弁護人は、早期に安価での示談を希望していたが、加害者の犯行は、計画的で悪質であり、十分に反省しているとも思えない。反面、女子高生が受けた精神的な苦痛は甚大であることを弁護人に伝え、余罪4件も含めた形でないと示談には応じない旨を申し向けた。実際、女子高生は数日間はショックで電車に乗ることができず、学校を休まざるを得なかった。仮に示談をするとしても、通常相場での示談金ではとうてい示談はできないと加害者に伝えて欲しいと弁護人に話した。その後、警察署が4件の余罪についても、再度の聴き取りを実施してくれた。そのため、加害者及び弁護人も真剣に示談に臨む姿勢が見えてきた。加害者側は当初、金20万~30万円の示談金を提示していたが、とんでもないと断った。加害者の男性は有名な会社の部長級の役職にあり、給料も相応に取得しており、何よりも逮捕釈放後も会社にも知られることなく普通に生活している。通常相場的な事案と判断されては困ると強く抗議した。2回目の交渉で金50万円が提示されたが、被害者の父親は心からの謝罪が見られないと拒絶した。さらに交渉を続け、最終的には、金80万円の示談金を一括払いで支払うことで示談が成立した。

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小出 康夫 弁護士からのコメント

示談金金80万円は、痴漢事件に対する示談金としては、かなりの高額である。しかし、目を付けた女子高生を執拗に狙い、計5回に渡って犯行に及んでおり、犯行態様も悪質である。推察するに、他の被害者も隠れているのかもしれない。加害者の男性は、高給取りであり、会社や家族に知られることなく、仕事も家庭生活にも影響なく済んだ。その意味では、この程度の金額で片付いたのであれば、安く済んだとも言える。被害者の父親は、まだ許せないという気持ちを持っていたが、示談交渉の結果には満足をしていただいた。社会的には立派な地位身分を持っていながら、いい年して女子高生の下半身を追いかけている姿には、心底腹が立った。本当に懲りていればいいけど、この手の犯罪は、またやってしまう人が多いんです。