この事例の依頼主
40代 男性
相談前の状況
【事案は抽象化しています】アパレルメーカーX社のA社長から,長年にわたって使用してきた定評のある自社の商品のロゴ(ロゴX)とそっくりのロゴ(ロゴY)が入った商品が小売店やインターネットで販売され,インターネット上でもそのロゴが掲出されていることを知り,販売をやめさせられないか,ということで御相談にいらっしゃいました。
解決への流れ
A社長のお話では,ロゴXは商標登録されていたそうなのですが,念のために確認してみると,更新手続がされておらず,ロゴXの商標権は失効してしまっていました。そこで,A社長と相談させていただき,ロゴYを使用して同種の商品を販売したり,自社のサイトにロゴYを掲出しているY社に対し,内容証明郵便を送付して任意の交渉を開始しましたが,Y社は,ロゴXとロゴYとは,まったく違っていて誤認混同のおそれはないと主張してきました。Y社の代理人と何度か会って交渉しましたが,議論は平行線のままでした。そこで,Y社の違法行為への対抗措置として,ロゴYが使用された商品の販売の停止,Y社サイトでの使用の停止等を求める仮処分命令を申し立て,裁判所から仮処分決定が発令されました。また,ほぼ同時に,Y社に対する損害賠償請求等を求めて裁判を起こし,こちらについては,裁判所からX社の主張に近い心証が開示され,勝訴的和解が成立しました。
ロゴXは,商標登録されていれば,商標法によって保護されることになります。すなわち,ロゴXの商標権が侵害されれば,X社は侵害者に対し,差止めや損害賠償を請求することができます。しかし,本件のように,ロゴXが商標登録されていなくても,諦めることはありません。本件でもそうでしたが,侵害者の行為が,商標権の侵害にはならなくても,不正競争防止法に定める「不正競争」に該当すれば,権利者は,侵害者社に対し,差止めや損害賠償を求めることができ,現に,本件でも,不正競争防止法を根拠にして仮処分の申立てや裁判を通じてX社の権利を保護することができました。貴社のロゴ等の商標出願や商標の管理が必要であったり,ロゴ等が模倣されてその権利が侵害されたりしたら,お気軽にご相談ください。