この事例の依頼主
50代 男性
相談前の状況
【事案は抽象化しています】依頼者様は,メーカー(X社)のA社長。製品の納入先(Y社)が,社長が交代してから,支払いが滞りがちになり,X社の経営への影響も大きくなってきました。困ったX社(Aさん)が知人の税理士の先生を通じて御相談に見えました。
解決への流れ
X社(A社長)は,最初は,Y社と任意で交渉をすることになり,私も何度かY社の営業部長や経理部長と面談しましたが,Y社はのらりくらりと支払いを引き延ばすばかりで,一向に埒が明きません。そこで,X社(A社長)と相談の上,裁判を起こすことにしましたが,それに先立ち,仮差押命令も申し立てることにしました。仮差押命令の申立てでは,仮差押えの対象となる会社の資産の所在が明らかではなかったので,X社とY社との取引契約で連帯保証をしていないY社の取締役らも相手方としました。X社の主張・立証が功を奏し,会社だけでなく,連帯保証をしていない取締役らの資産(預金債権等)についても仮差押命令が発令されました。Y社は,売掛金をすぐには支払ってくれませんでしたが,裁判の証人尋問を終えた段階で,裁判所から遅延損害金を免除する和解の提案がなされ,X社もY社もその和解案で合意し,X社は,無事に売掛金全額を回収することができました。
本件では,X社とY社との製品を供給する取引契約において,Y社の取締役らが誰も連帯保証をしていませんでしたが,仮差押命令の申立てで,X社とY社との間のメールや書面のやりとりを証拠として裁判所に提出したところ,裁判所は,Y社の取締役ら個人の資産についても仮差押命令を発令してくれました。続く裁判でも,裁判所は,Y社の取締役らの責任について,X社の主張が合理的であるという心証を得たようで,X社の主張に副った和解が成立し,X社は,無事に売掛金全額を回収することができました。