この事例の依頼主
10代 男性
相談前の状況
少年は,悪い友達と一緒になって建設現場から大工道具を盗んで古道具屋に売却した。それが警察に見つかって少年は逮捕されて家庭裁判所に送られ,家庭裁判所で観護措置がとられて少年鑑別所に送られた。少年の父親から相談を受けて受任することとなった。
解決への流れ
早速少年の付添人となって活動を始めた。父親は被害者に対して弁償する意思があったので被害者側と接触したところ被害弁償を受けてもよいとのことであった。そこで,少年と会って①今回の事件を犯した原因をどのように考えているのか,②父親が被害弁償をしたことをどのように考えているのかについて反省文を書かせて家庭裁判所の調査官に読んでもらい,少年の反省が深まっているので再び同じような事件を犯す危険性は極めて低い旨の意見を述べた。審判の結果,「今回は少年院へ送ることなく保護観察にするので自力で立ち直るように。」と言われて家庭に返された。
少年の事件であっても成人の事件と同じように被害弁償は大切である。但し,少年の場合は被害弁償ができたこと自体に加えて,親が被害弁償をしたことをどのように考えて反省を深めているのかが重視されるので,鑑別所に入っている短期間の間に少年の内省を深めて家庭裁判所調査官の少年に対する印象をよくすることが付添人である弁護士にとっても大切である。