この事例の依頼主
60代 男性
相談前の状況
建物を建て替え後,ブロック塀等が土地境界を越境して建てられているとして,その撤去とその部分の土地所有権を主張された案件です。調停不調のあと,訴訟を提起されました。相談者は,建替時に,きちんと隣家家人に境界ラインも確認してもらい,そのラインに従って工事をしました。途中でクレームがあり,納得はできなかったものの,トラブルを避け,相手の望む工務店に塀を再設置させたにもかかわらず,それでも工事完了後,隣家から境界ラインを越境していると主張がありました。相談者は,当然,これを受け入れなかったところ,隣家に調停を起こされ,それが不調となった後,本裁判を提起してこられました。
解決への流れ
相談者は,きちんと確認し,しかも途中で相手の言うとおり塀を作りなおさせたのに,まだ越境だと言ってくることに相当ご立腹でした。裁判では,当方が越境していないことを,丁寧に主張立証し,全面的に相手の主張が退けられました(請求棄却)。やっと終わったと喜んで頂きましたが,何と,その数年後,またも蒸し返し的に,今度は境界確認を論点として,法務局での筆界特定を申し立てて来られたのです。これについては,周辺隣家も巻き込まれておりました。この手続きについても代理人を務め,当方主張に沿った筆界特定がなされました。相談者には,裁判の仕組みや主張と立証の峻別など,今行われていることの意味をよく理解してもらうよう努め,感情を抑えて冷静な対応をしてもらうようにしました。相談者は,ときに理不尽とも思える相手主張に接しても,切れることなく,事実を大切にして冷静に対応してくれましたので,良い結果が得られました。
隣家を選ぶことはできません。残念ですが,正当性を欠くと思われる無理筋の主張を執拗に繰り返す人が確かに居られます。このような事案では,和解の余地がほとんどなく,フルコースの法的紛争を避けられないことが多いです。合理的な和解を目指して活動していましたが,途中からは,訴訟をやり尽くすしかないと思い,何度も現場に足を運んで主張立証を重ねた事件でした。最終的には,すべて勝訴し満足して頂きましたが,相談者も私も疲れ果てた感が漂う事件でした。