この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
ある店舗内に,第三者が置き忘れた,数万円の入ったハンドバックを出来心で拾い,そのまま持ち去ってしまった。しばらくして,警察から連絡があり,警察署への出頭を要請されたが,どのように対応したら良いか不安とのことでご相談に来られました。このまま,逮捕されてしまったら,仕事や家族にも大きな影響があり,できる限り逮捕・勾留は免れたい。また,被害者に対しても,早急に謝罪と弁償を行い,できる限り誠意を示し,できる限り重い刑事処分を受けることのないようにしてもらいたい,とのご相談でした。
解決への流れ
上記のような,ご相談をお受けし直ちにご依頼を受け,警察への受任通知を行い,担当の警察官に対し,依頼者は,取調べには出来る限り協力し応じる意向を持っていること,弁護人としても依頼者の出頭などについては出来る限り協力を行うことなどを伝えました。その後,依頼者は,自らの行ってしまった事件と向き合い,深く反省し,被害者に対し誠心誠意謝罪を行うとともに,被害弁償を行いたいとの結論に至りました。そこで,警察への連絡を行い,依頼者の被害者に対する考えを伝え,被害者の連絡先を教えてもらい,被害者との示談交渉を行いました。数回にわたる,被害者との交渉のなかで,依頼者の手書きの謝罪文なども読んでいただき,被害者において,こちらの反省について納得をしてもらうことができ,被害弁償を行うとともに,加害者である依頼者を宥恕する(簡単には,許すくらいの意味です。)旨の文言や,被害届を取り下げる旨の文言の記載された示談書にサインをしてもらうことが出来ました。
当初,警察への連絡を行った際には,依頼者において,警察への出頭を一度も行っていなかったこともあり,この状態が続く可能性が高い場合には,逮捕手続を行わざるを得ないことを伝えられました。しかし,当職から依頼者の出頭については,出来る限りの説得を行い,出頭確保の協力を行うことを伝え,逮捕については控えてもらいたい旨連絡を行いました。依頼者においても,弁護士との話合いの中で,自らの行った事件と向き合い,反省を深め,警察への取調べに協力するということになりました。その結果,本件については,結局逮捕もされず,最終的な処分としても,被害者の被った損害を補てんするに十分な賠償を行う内容の示談が被害者との間で成立し,被害感情も弱まっていることなどを評価してもらい,不起訴処分という結果に終わりました。事件終了後,依頼者から,このようなことは,もう2度と行わないとの決意を固める言葉をいただき,担当させていただいた弁護士としても依頼者の再起を十分に確信できる解決となったのではないかとの印象をもつことが出来ました。(なお,事件内容の詳細については,当事者,事件等が特定できないよう,内容等の修正を行っております。)