犯罪・刑事事件の解決事例
#交通犯罪 . #被害者

自動車運転過失致死、道路交通法違反(ひき逃げ)の被疑事実で検察送致されたが、意見書を提出する等の弁護活動の結果、不起訴処分(嫌疑不十分)を得た事例。

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吉田 純二 弁護士が解決
所属事務所福岡城南法律事務所
所在地福岡県 福岡市中央区

この事例の依頼主

20代 男性

相談前の状況

依頼者は深夜、車で帰宅中、道路脇に倒れていた人(の体の一部)を轢いたのに、その場で救助せずに事故現場から離れたとの疑いで、在宅事件として警察の取調を受け、その後警察から検察庁に事件が送致(送検)されました。送検直後のタイミングで依頼を受けました。

解決への流れ

依頼者には人を轢いたとの認識は全くなく、帰宅中、車のタイヤ付近から何か物音を感じ、動物でも轢いたかとなと感じ、近くの明るい場所で停車、降車し、車に異常がないか点検していましたが、特に異常はありませんでした。後日警察署に車を持っていって調べてもらった時も当初は何も異常は認められなかったものの、その後被害者のものと見られるDNAがタイヤ付近から発見されたと聞きました。私と同事務所の弁護士2名で受任し、事故現場を同じ時間帯に走行し記録化する等の調査を行いました。その上で、検察官に①本件ではそもそも依頼者の車両が被害者を轢いたとは必ずしも認められないこと(別の車が轢いた後を通過して付着した可能性もある)②深夜の時間帯に道路脇に人が倒れていることは通常予見できず、依頼者には過失がないこと➂人を轢いた認識がないのであるから、救護義務違反の前提を欠き、同罪の成立も認められないことを骨子とする「不起訴を求める意見書」や当職らの調査結果を提出しました。その結果、数ヶ月を経て、不起訴処分を得ることができました。依頼者は交通事故を起こしたということで、行政処分(免許取消処分)を受けるおそれもありましたが、審問期日に代理人として出頭し「現在捜査機関による捜査中であること、本件は無罪なのだから処分がなされるべきでないこと」を述べたところ、刑事事件の結果を待つということになり、その後、前記のように刑事事件が不起訴となったため、行政処分もされず、終わりました。

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吉田 純二 弁護士からのコメント

深夜に現場を走行してみるなど現地調査を行ったケースです。現地調査を行い、同じ条件で調査をしてみることで、私たち弁護士にとっても実際にそのようなことが起こり得たのかについてよりリアルに考えることができる場合があります。本件では調査の結果を踏まえ、意見書及び資料を提出したところ、不起訴処分が得られたケースでした。仮に、起訴され、有罪となっていたら(もちろん刑事裁判で無罪を争うわけですが)、依頼者の負う不利益は多大なものであったであろうことを考えると(免許取消処分も受けることになります)、不起訴処分を得られて良かったと思いました。