犯罪・刑事事件の解決事例
#遺産分割 . #財産目録・調査

難しい相手方を、逆に協力者に取り込むことでまとめていく

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吉田 榮士 弁護士が解決
所属事務所多摩あおば法律事務所
所在地東京都 立川市

この事例の依頼主

40代 男性

相談前の状況

被相続人(74歳)は、埼玉県の地方都市に一人住まい(妻はすでに死亡、子どもはいない)していた。遺産は、土地、建物のほか預貯金など。相続人は、姉(80代、成年後見人長女)と兄の子ども4人。依頼者Aは、東京都内に居住しているが、他の者はすべて地方都市在住である。もともと、被相続人も含め、全員が同じ地方都市に在住していた。Aは都内にいるということで、埼玉の被相続人の所に泊まりこみ、その地方都市から弟を呼び、遺産の整理などを始めた。しかし、おじの相続ということで、安易に預金を調査費用、飲食費用に費やし、その内訳は明記していたが、そのことの是非を、他の相続人(B)に指摘されていた。その後、Bから細かい指摘もあり、困り果て、相談に来た。

解決への流れ

Aの依頼を受け、埼玉にも行くと、住宅地にある古い家屋であるがそれなりの屋敷であった。Aのした調査は、必要な調査や整理もあったが、ただ家にいて飲食生活をしていた節もあり、領収書などを見ても、遣いすぎの面もあった。Aとすれば、それなら、自分に代わってやればよいという思いも強く、双方の感情は対立していた。先ずは、この土地建物を売却することから始めた。その点は相続人間の利害は一致していた。売却は地元の不動産業者に依頼し、早期に売却ができた。Bは細かく、かつ、正論を述べ、領収書にクレームを出したり、墓地問題に介入したり、要求が多かった。一番Bが要求したことは、Aらの使い込み問題の決着であった。この使い込み問題は領収書があるものとないものがあり、また、使い込みと言えるかどうかも対立しており、細かい問題ではあるが、最大の問題でもあった。ただ、この問題で対立していただけでは解決にたどりつけない。遺産を不当に遣ったものを確定し、その額を戻させて、遺産を確定しなければならない。Aにも譲歩させ、Bにも計算してもらい、相互に遺産目録を作成した。そして、どの目録を成案にするかをBの所に何度も行き、ひざを交えて協議した。そのこともあって、一定の信頼を得ることができ、遺産分割協議書を完成させ、特に不動産は処分していたので、後は、金銭の分配だけになり、何とか解決することができた。預貯金や株券類の処分、換金等はすべてこちらで受け持った。Bらは金銭を受け取るだけであった。AとAの兄弟はそのことに不満を持っていたが、そこは説得し、最終的にはおさまる所におさまった。

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吉田 榮士 弁護士からのコメント

それでも、事件として受け、終結するまでに1年半かかりました。しかし、強引に事を進めず、相手方にも協力を求め、共にこの問題を解決するのだという姿勢を打ち出すことによって、最後は、スムーズに事が運びました。相手方の資質をきちんと見て、その資質に応じた解決方を考えたのが良かったと思います。しかし、余りに細かい事を言うので、閉口したこともありました。それでも淡々と事を運んでいくのが弁護士の仕事かと痛感しました。