この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
食欲不振などを訴えて病院を受診したところ胃潰瘍と診断され、しばらく通院してもあまり改善しなかったため、半年後に別の病院を受診したら、胃がんが進行した状態であることが判明し、半年前の病院の見落としではないかと疑って、相談に来られました。
解決への流れ
第三者医師による画像評価を経た上で、相手方病院に対し民事調停を申し立てて調停の場で交渉したところ、一定の解決金の支払いを前提とする民事調停が成立しました。
がんの見落としなどの案件の場合、「見落としがなければ確実に治せていた」といえるかどうかが、損害額を算定する上でとても大きなポイントになります。ただ、もともとがんは進行性の病気ですから、「確実に治せていた」かどうかを証明することはなかなか難しいものです。もっとも、金額はそこまで大きくないですが、確実に治せていたとまではいえなくても、治癒できる相当程度の可能性があったといえる場合には、一定の賠償が認められる余地があります。全面勝訴できるにこしたことはありませんが、どの事案も常にできるとはいえません。ですから、仮に全面勝訴までは勝ち取れなかったとしても、この「相当程度の可能性」により一部でも勝訴できる可能性を探るということも、医療事故を扱う弁護士としては大事な取り組みであると思います。