この事例の依頼主
30代 男性
相談前の状況
IT関連のサービス業を営む顧問先のA社は、業態の特性もあって人材の入れ替わりが比較的頻繁で、ときには、協調性を欠く、業務能力が著しく低い、他の社員に悪影響を及ぼすといった問題社員を抱えることもありました。過去には、そのような社員に対していきなり懲戒解雇処分を行って逆にその社員から裁判を起こされ、多額の支払いを強いられる、という経験もあったことから、問題社員に対し、リスクを可能な限り少ない方法で退職を求めることができないか、とご相談にいらっしゃいました。
解決への流れ
まず、既存の就業規則等の社内規程を徹底的に見直し、労使間で対立が生じやすい事項についても使用者にとって合理的な内容に整備しました。その上で、問題社員に対しては、解雇はあくまでも最後の手段と考え、目標管理、改善指導、人事考課の適正化等を粘り強く行うことを第一段階に据えました。結果、当該社員の方には穏便な形で新天地をご選択いただくことができ、会社の士気も向上しました。
労働法は、労働者の権利を守るための規制であり、会社にその遵守が求められることは当然の前提です。その上で、会社の側としては、自社の制度設計の際にも、その運用の際にも、「穴」を作らない取組みを徹底させることが、円満な労使関係の下でモチベーションの高い職場環境を実現させるための大切なポイントです。