この事例の依頼主
50代 男性
相談前の状況
依頼主は退職した従業員及び在籍中の従業員から未払いの残業代があると主張され、支払いの請求を受けていました。従業員らは、変則的なシフト勤務であり、実際には稼働していない時間について会社に拘束されて残業代が発生する待機時間にあたると主張していました。依頼主は、従業員を拘束していた実態はないことや別途手当が出ていたことなどから残業代は発生していないと考え、従業員らの請求に応じていませんでしたが、従業員らから訴訟を提起されたため、当事務所に相談に来られました。
解決への流れ
まず、従業員の勤務実態について詳細に調べることにしました。他の従業員のシフトや平均的な作業時間から考えて待機時間がどれだけ発生するか、突発的に対応する事情があったかなどを取引先にも協力してもらい当該従業員の勤務時間はどれくらいか、待機時間が発生しているのか計算しました。計算すると多少の残業が発生していた可能性があるものの、従業員らが主張するようなほど長時間の待機時間は発生していないと指摘できる事情が分かりました。これらの事情を指摘し、また、別途手当を出していたことなどを主張して、最終的には請求額を大きく減額して和解しました。
依頼主の会社自体の記録だけでなく、取引先の記録など様々な証拠を探し出して従業員らの主張を崩していくことにより、最終的に和解で解決しました。依頼主の会社が正確な勤務時間の記録を残しておけば、従業員らからの請求を受けることもなかったかもしれません。企業の雇用を巡っては、様々な問題が起こる可能性がありますので、予防法務の重要性をあらためて認識した事案でした。具体的な問題が起こってからでないと、なかなか相談しようと思わないかもしれませんが、予防法務としてのご相談もしていただければと思います。