犯罪・刑事事件の解決事例
#運送・貿易

従業員に対する損害賠償請求

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三好 康之 弁護士が解決
所属事務所三好法律事務所
所在地東京都 品川区

この事例の依頼主

年齢・性別 非公開

相談前の状況

重機類を使用する運送業の顧問先会社からのご相談。従業員が重機の操作を誤り、破損させた。その結果、会社は修理代金500万円を支払わなければならなくなった。会社としては、明らかに従業員の不注意に基づく事故であり、当人に全額を弁償させたいが、法律的に問題ないか。

解決への流れ

顧問先会社社長から事情を詳しくお聞きしたところ、事故の原因は、従業員の居眠りであり、それにつき従業員本人も認めているとのことでした。さらに、調査したところ、会社側に、従業員に過労をもたらすような無理な勤務体制は認められませんでした。したがって、本件事故は従業員の側の重大な過失により発生したものと考えられました。以上を前提として、会社と従業員の間で発生する損害賠償責任については、会社は従業員を使用して利益を拡大しているのである以上、従業員が通常予想される程度のミスを犯した場合の損害も会社が引き受けなければならないという「報償責任」の考え方が一般的に肯定されており、会社が負った損害を従業員に賠償請求(求償)することには相当程度制限されると説明した上で、本件は居眠りという従業員の明らかな重過失に基づくものであり、責任は重大であるが、それでも会社が従業員に請求できるのは損害総額の4割(200万円)程度にとどまる旨回答し、了承を得ました。

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三好 康之 弁護士からのコメント

会社と従業員の間の損害賠償責任の分担については、会社は従業員を使用して利益を拡大しているのである以上、公平の観点から、従業員が通常考えられる程度のミスを犯した場合の損害も会社が引き受けなければならないという「報償責任」の考え方が一般的に肯定されており、会社が従業員に損害賠償請求したり求償したりすることは、かなり制限されることになります。