この事例の依頼主
40代 男性
相談前の状況
顧問先のIT関連企業が、退職した元従業員から退職金を請求する裁判を起こされました。顧問先に退職金規定はありませんでしたが、元従業員は、会社には退職金支給の慣習が存在していると主張していました。
解決への流れ
裁判では、過去に退職金が支給された例は限られており、特別の功労が認められた従業員に対して、都度、代表者の裁量で恩恵的に支給されていたにすぎないことを主張・立証しました。途中、裁判所から何度も元従業員寄りの和解を勧められましたが、関係者の証人尋問を求める等、妥協せず徹底的に争いました。結果、元従業員の請求を棄却する顧問先勝訴の判決を勝ち取ることができました。
労務問題に関する紛争では、本件のように労働者寄りの和解を勧められるケースが多くあります。しかし、本件のように妥協せずに徹底的に争うことで、有利な判断を得られる可能性が出てきます。特に今回のような件では、安易に譲歩して和解すると、今後他の従業員に対しても同様の扱いをしなければならなくなる可能性もありましたので、顧問先には徹底的に争うことを助言しました。本件の解決に限らず、今後の予防法務的な見地からも意味のある勝訴であったのではないかと考えています。