この事例の依頼主
男性
相談前の状況
とある施設の運営者から、施設の利用者が、施設外で酒に酔って被害者に暴行を加え、さらに財物を奪って逃げて逮捕されたとの連絡を受け、警察署に接見に行くこととなりました。
解決への流れ
接見に行くと、お酒が入っていたので詳しくは覚えていないが、路上で女性に声をかけたら無視をされたので腹が立ち、暴行を加えるとともに、鞄を奪ってしまったとの話を伺いました。警察に確認すると、罪名は強盗致傷罪とされており、手続が進めば刑罰は重くなることが予想されたため、速やかに被害者の方の話を伺い、可能であれば示談を行うことが必要であると感じました。幸い警察から被害者の方の連絡先情報を伺うことができたので、速やかに連絡し、怪我の状況を伺うとともに、今後の要望を含めたお考えを聞くことができました。怪我の程度がかなりひどく、今後も治療の継続が必要となる予定であることや将来的に不都合が生じる可能性があることなどを伺ったため、被疑者のご家族と相談し、まずは現在把握している怪我の治療費や入通院費をベースに示談金として提示する金額を検討していきました。かなり高額な金額とはなりましたが、速やかに対応したことで、被害者の方の理解を得られ、結果として、宥恕文言(本件を許し、処罰を求めない旨)を入れた示談書を取り交わすことができました。その後は、ご家族や施設の方と再犯防止のための環境をどのように作っていくかを検討し、被疑者本人とも接見を重ねて、今回の事件の原因を振り返り、どのようにすれば再犯を避けられるかを協議しながら、警察や検察庁の捜査に対応しました。最終的に示談が成立していることを理由に、検察官は不起訴の決定をし、前科がつくことを避けることができました。
重大な犯罪であったため、刑事裁判になってしまうことを覚悟しておりましたが、ご家族の方が全面的に協力をしてくれたことにより、被害者の方も話を聞いてくれるようになって示談を成立させることができました。被害者の方との示談は、決まったやり方がある訳ではなく、被害者の心情に十分に配慮しながら進めなければならないため、神経をすり減らします。それでも、示談を成立させることは、被害者の存在する刑事事件の弁護活動では極めて重要なポイントとなるため、当事者が納得できる示談を成立させたときの充実感は大きいものがあります。当職は刑事事件の示談のほか、男女トラブルや会社間のトラブル、近隣トラブルや家族トラブルといった多岐にわたるトラブルにおいて交渉を経験してまいりました。今後も様々なトラブルで培ってきた経験を、示談交渉においても活かしてまいりたいと思います。