犯罪・刑事事件の解決事例
#土地の境界線

隣地との境界を巡る争いがあり,法務局に筆界特定まで申し立てたが話し合いが付かず,訴訟に至った事案。

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成瀬 裕 弁護士が解決
所属事務所成瀬法律事務所
所在地福岡県 福岡市中央区

この事例の依頼主

年齢・性別 非公開

相談前の状況

依頼者は,土地上の建物を解体して土地を売却したい意向でしたが,土地の境界線がどこなのかを巡って隣地所有者と意見が違うため,売却が難しい状態でした。しかも,建物はいずれも昭和の初期には建てられていたもので,依頼者の建物と隣地所有者の建物とは外壁同士が密着して一体の壁を構成しているため,片方を壊せば他方の外壁も壊れる関係にあり,簡単には解体できない状態でした。このため,隣地所有者は依頼者に大幅な譲歩を迫っていたようです。

解決への流れ

ご相談を受けた時点では,法務局での筆界特定が終わっていましたが,隣地所有者は法務局の結論に納得せず,境界協議は成立していませんでした。問題の土地は,博多駅土地区画整理事業の対象になった地域で,この事業による換地処分では,本件土地の周辺は,もとの位置にもとの形状でもとの大きさに新たに換地する「原地換地」という手法を採用したことが福岡市の記録から確認できました。法務局の筆界特定では区画整理の成果をどのように評価しているのかはっきりしませんでしたが,筆界特定で定まった境界線と区画整理事業の換地処分によって創出された土地の範囲とが一致し,その線は現況どおりで,さらに依頼者が主張する線と同じでしたから,これが間違っている可能性はまずないと判断されました。おそらく隣地所有者も状況は理解していたのではないかと思いますが,事前に仲介に入った方のやり方にも問題があったようで,話し合いはこじれにこじれていたため,判決を得る方が早く確実と判断されました。そこで,事前に隣地所有者にその旨ご連絡した上で訴状を提出し,認容判決を得ました。

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成瀬 裕 弁護士からのコメント

本件では,法務局による筆界特定と較べて,福岡市の換地の説明の方が明らかに分かりやすかったので,事前に筆界特定を利用する意味は低かったかも知れません。私が関与する前に土地家屋調査士さんが手続をしていたのですが,普通は長期間を要すると聞いており,弁護士的には利用を躊躇します。しかし,筆界特定の手続を利用することによって,関係する多くの資料を入手することができるので,紛争解決に役立つこともあるらしく,選択に迷うかも知れません。但し,所有権の範囲の確認だけでなく,境界を確認しておく必要があるなら不可欠です。隣地所有者とは,判決確定後も,建物解体を巡る交渉が避けられないので,感情的な対立を招かないよう配慮したつもりです。判決後は,解体のための協議もスムーズに進んだそうです。