この事例の依頼主
60代 男性
相談前の状況
30年前、相談者様の父親が相手方の父親から農地を買い、それ以降ずっと農地として利用してきましたが、名義変更(所有権移転登記手続)をしないままになっていました。その後、売買の当事者である相談者様の父親も相手方の父親も死亡してしまった後になって、相手方は、相談者様に対し、「農地を返せ」とか「これまでの30年間分の賃料を支払え」と請求してきました。
解決への流れ
相談者様が所有者であることを確定させるとともに、名義を相談者様に変更するために民事訴訟を提起し、無事勝訴しました。
農地については名義変更をするに際して農業委員会の許可が必要になるので、きちんと名義変更をしないままに放置されてしまうケースが散見され、中には契約書などが残っていないケースもあります。そのようなケースでは、売買をした当事者同士が存命している間はトラブルは余りないのですが、死亡して子供たちが相続すると、とたんにトラブルになってしまうのです。ご紹介したケースもまさにそのようなケースでしたが、時効取得が認められる事案でしたので、無事相談者様の所有権を確定させることができました。なお、この訴訟では、相談者様の父親および相談者様自身が農地を30年間使用し続けてきたといえるかどうかが一つの争点となりましたが、国土地理院の航空地図を取り寄せて証拠として提出したところ、30年間使用し続けてきたことが裁判所によって認定されました。