この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
退社したばかりの社員から,未払い残業代の支払を求められた中小企業の社長からのご相談です。生活に困っている社員だったので,技術が未熟なうちから目をかけてきたのに,手のひら返しをされたように感じ,残業代請求について争うこととなったとのこと。また,会社の経営状況から,支払える給与に限度がある、というご事情も抱えておられました。
解決への流れ
裁判では,証人尋問も実施のうえで,和解の条件を検討しました。返済期日を区切ったうえで,運転資金の借り入れを行い,そこから一定の額を一括で支払うことで,従業員側と和解しました。
紛争の解決を考えるにあたっては,様々な要素があります。判決となった場合に認められる「支払うべき金額」とは別に、「債務者が実際に支払可能である額」という観点も重要です。またお互い、紛争が長期化すれば経済的にも工数面でも負担があることは間違い無く、早期に解決したいというのは共通の認識です。そのような互いの事情を鑑み,会社側,労働者側双方にとって妥当な額で和解をまとめられたケースでした。