この事例の依頼主
60代 男性
相談前の状況
<相談の内容>依頼会社は、北陸地方にて複数店の飲食店を経営しています。大阪の会社から内容証明郵便が届きました。それによると、依頼会社の営む食堂の名称Aが、大阪の会社の営む名称と類似しており、商標権侵害に該当することから、A食堂の営業を停止したうえで、営業開始日から営業停止日までの利益全額を支払うようにとの内容でした。<対応方針>商標を確認したところ、確かに名称Aは、大阪の会社の営む名称とまったく同一ではないもののかなり類似していることがわかりました。もっとも、依頼会社のA食堂は、石川県で営業しており、食堂の利用者は近隣の住民が中心です。他方、相手方の会社は、類似の名称を使用して主に関西圏を中心に出店しており、お互いの商圏が異なっていることがわかりました。
解決への流れ
<解決内容>依頼会社は、すぐに店の名称をBへと変更しました。ただちに看板、メニュー表などの表示をすべてBへとに変更し、ホームページでも名称変更の告知を行いました。相手方の会社へは、名称を変更したことを通知しました。そのうえで、相手方からの損害賠償請求については、商圏が重複しておらず、依頼会社の食堂の売り上げは、独自の営業活動によるものであり、類似商標の使用が売上に寄与していないことを説明したうえで、損害賠償の支払には応じられないことを伝えました。最終的に、賠償金の支払いをすることなく、解決しました。
飲食店や美容室など一般消費者向けのサービスを提供する場合には、名称を使用する際に、商標権の侵害がないかを確認することが重要です。また、商標権を侵害してしまった場合、侵害された場合には、できるだけ早く対処することで適切な解決ができることが多いです。