この事例の依頼主
男性
相談前の状況
相談者は,とある施設に備え付けられていた備品を損傷したということで,器物損壊罪で逮捕されてしまいました。逮捕当日に,相談者より警察署を通して連絡を受け,担当弁護士が事件を担当することになりました。
解決への流れ
担当弁護士は相談者が留置されている警察署に直ちに赴きました。相談者としては,事実を認めていたことから,担当弁護士としては,被害店舗に対する被害弁償交渉を優先して行う方針としました。担当弁護士は,直ちに被害店舗に赴きましたが,被害店舗の処罰感情が強く,被害弁償金相当額を受け取ってもらうことが出来ませんでした。そのため,被害弁償金相当額については,法務局に供託する手続きをとり,実質的な被害弁償を行ったという実績を作りました。逮捕翌朝,担当検事に直接面会を求め,今後の勾留の必要性や勾留の理由が乏しいことを担当検事に伝え,相談者を勾留しないことを求める書面を提出の上,説得しました。結果的に,相談者は,勾留請求されることなく逮捕から3日目に釈放されることになりました。
被害店舗の処罰感情が強く,被害店舗に担当弁護士が謝罪に伺ったものの,被害弁償金を受け取ってもらえないという事案でした。窃盗や器物損壊といった財産犯(財産的利益を侵害した事件)においては,刑事処罰を軽くしてもらうためには被害弁償が何より重要です。担当弁護士は,弁済の供託(民法494条)という手法を講じて,被害弁償の事実を作ることができたことが功を奏した事案でした。