この事例の依頼主
50代 女性
夫は諸々の事情で仕事も不安定な状況にあったことに加えて、家事等の能力もやる気もなかったため、相談者は、仕事をやりながら、家にあっては家事もほぼすべてをこなしていました。このような状況にありながら、夫は、家事をまともにやらないばかりか、相談者に対して思いやりのある言葉の一つもかけず、文句や要求ばかりでした。相談者は何年にも亘り精神のバランスを崩し、すでに限界に達しており、また、このような両親の姿を目の当たりに見せつけられる子どもも精神的に限界に達して、学業もままならない状況となっていました。このような状況に限界を感じた相談者さんは、お子さんの学業の区切りがつく段階で、離婚手続をとることを決意し、相談にいらっしゃいました。
相談者さんは、相談にいらしたとき、夫と本当に離婚ができるだろうかと怯えていらっしゃいました。相談の中で、お話を伺い、まずは、お子さんとともに家を出て別居すること、その段階で、弁護士から離婚手続を取る旨の通知を送ること、という方針を決め、緊密に連絡をとって、実行しました。弁護士からの通知を受け取った夫は、離婚はやむを得ないと感じたようで、それ以上に追及はなく、こちらが手続を取るのを待つ、という反応でした。その上で、私のほうで、家庭裁判所に離婚調停の申立を行いました。離婚調停中のやりとりでは、夫からの相談者に対する細かいことにかこつけた追及がひどく、同居中に相談者さんにかけた負担については何も思い至らないという有様で、これが同居中のモラハラの正体かと得心させられるものでしたが(しかも夫本人の主観の中では正しいことを述べているという認識でいることもわかるもので、閉口させられました)、このままいけば離婚が成立できるという状況であったので、最低限の対応をしつつ、離婚に向けて調整を続けました。このようなやりとりを経て、数回の期日を経て、離婚を成立させることができました。離婚が成立し、最低限のやりとりを経て、相談者さんとお子さんは、新しい生活を確立することができました。
同じ離婚事件といっても、どのような対応をするのがベストであるかは、ケースバイケースです。本件では、夫のプライドを不必要に傷つけない通知を送付し、離婚調停においても、相談者さんの気持ちや状況は調停委員には伝えつつも、夫との関係では必要最小限とし、何より離婚を成立させて関わりを可能な限り断てる形にすることを優先しました。