この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
不動産業者が、死亡した人名義の建物付きで土地を購入した。同土地は、同土地の前所有者が、同土地を第三者に賃貸しており、その土地賃借人が同土地の上に建物を建築して居住していたところ、その後死亡し、相続人が全員相続放棄したため、所有者不明の建物となっていた。また、同建物には根抵当権が設定されており、勝手には取り壊すことができない建物であった。
解決への流れ
土地購入者を原告(依頼者)とし、亡くなった建物所有者の相続財産を被告として、建物収去・土地明渡を求める裁判を提起した。その際、被告である相続財産のために、特別代理人の選任を申立て、特別代理人に被告の訴訟追行をさせて、建物収去・土地明渡を認容する判決を得た。そして、最終的には、確定判決に基づき、建物収去・土地明渡の強制執行の申立て(建物収去命令申立)をして、決定を得た後、建物収去・土地明渡の強制執行を実施した。
本件のように、建物所有者が死亡し、建物所有者の相続人が全員相続放棄をしてしまったために、所有者不明となった建物だけが残り、その建物の底地所有者が困ってしまう、といった事案は、まま見受けられます。このような事案は、本来的には、相続財産清算人を選任して、その相続財産清算人との交渉によって建物収去・土地明渡を行うことが原則となりますが、相続財産清算人を選任しなくても、簡易な裁判手続を経ることで解決できることがあります。所有者不明建物等でお困りの際には、一度、相談にお越しください。