この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
ご相談者は、土地を所有しており、貸し出すことで賃料を得ていました。相手方は、土地の上に倉庫を建てて、商品の置き場として使っていました。ところが、ある時から、賃料が入らなくなりました。そこで、賃料の支払いを請求したところ、相手方の弁護士から通知が届きました。その内容は、相手方は現在の状況では経営が成り立たず、債務整理をせざるを得ないので、賃料を支払うことができないというものでした。そこで、今後、賃料が入る見込みがないので、賃貸借契約を終了させて、倉庫を撤去してもらい、新たに借り手を探したいという依頼を受けました。
解決への流れ
まず、相手方に、賃貸借契約を解除する旨の内容証明郵便を送りました。同時に、倉庫を撤去するように求めました。この通知により、法的に賃貸借契約は解除されたことになりましたが、相手方は経済力がなく、倉庫を撤去することができませんでした。そのため、やむをえず、倉庫の撤去及び土地の明渡しを求める裁判を起こしました。相手方は、諦めていたのか、裁判所に出頭しませんでした。そのため、直ちに申立てどおりの判決が言い渡されました。しかし、判決が出ても、相手方は、倉庫の撤去をしませんでした。そのため、強制執行を行うため、裁判所に申立てを行い、強制執行をしてよいとの決定を得ました(強制執行の内容は、依頼人の方で倉庫を撤去することができ、その費用約170万円は相手方が支払わなければならないというものです。)。しかし、実際には、相手方に経済力がないため、依頼人の方で業者に依頼して、執行官立会いのもと、倉庫を撤去せざるをえませんでした。この手続きにより、土地が更地になり、新たに有効利用することができるようになりました。
裁判所の判決が出れば、それで全て決着がつくとお思いになる方が多いと思います。しかし、実際に判決内容を実現するためには、相手方にお金を払ってもらったり、建物を撤去してもらったりするなど、相手方の行動が必要です。それができない場合には、強制執行をして、強制的に判決内容を実現させるしかありません。このご相談の場合も、相手方に経済力がなく、相手方によって倉庫を撤去してもらうことができなかったため、やむなく、強制執行の申立てを行いました。また、法律的には、強制執行の費用も相手方に負担させることができるのですが、経済力のない相手方から費用を回収することはできませんので、こちら側で費用を負担するしかありませんでした。しかし、ご相談者としては、土地を新たに貸して、適正な賃料を取ることができるので、このまま放置することはせずに、このような手段を取りました。