この事例の依頼主
50代 女性
相談前の状況
3人の共有名義となっている土地を共有者の1人が使用し、その土地の一部を賃借して賃料を得ていました。その土地のもう1人の共有者である依頼者が、土地の一部を賃借することにより得られた賃料の一部を共有者間で分けるか、共有名義の土地を売却して代金を共有者間で分けることを提案したものの、土地を使用する共有者から断固拒否されたため、共有名義の不動産の処理が問題になりました。
解決への流れ
共有者全員に対して共有物分割請求訴訟を提起し、その訴訟の中で共有名義となっている土地から共有者が公平に利益を得るための協議を継続しました。共有者間で意見が割れて協議が整わなかったため、共有物分割請求訴訟で共有名義の土地を競売にするための判決を得ました。その後、競売手続きを実施する前に、任意売却手続きで当該共有地を売却し、共有者間で売却代金と賃料収入を公平に分けました。
共有名義で不動産を購入する事情、単独所有の土地の所有者が亡くなり相続が発生する事情により共有名義となる不動産は多く存在し、共有者間でトラブルが生じたり、トラブルが生じていない場合でも共有名義の不動産をどのように取り扱ったら良いか問題となるケースは多くあります。このような場合、共有者間で共有物の処理を進めていくことは困難であるため、共有名義の不動産の処理の経験がある弁護士に依頼することで解決ができます。事例では、共有物分割請求訴訟を実施していますが、それまで共有者間で共有物の処理が困難な場合、この訴訟を行うことで共有物の処理を実現することができます。共有物分割請求訴訟というと、共有物自体を共有者間で分けることしかできないように思えますが、実際には、共有者のうち1人が共有物を単独取得する代わりに他の共有者に持分に応じた価額を支払うかたちでの代償分割の方法や、事例のように競売を求めて、共有物全体を売却し代金を共有者で持分に応じて分ける換価分割の方法も判決で実現することができます。もっとも、競売によると、共有物の売却代金が低額となり、十分な利益が得られない場合があります。このような場合には、多数の不動産業者と連携して任意売却が実現できる弁護士に依頼することで共有物により得られる利益を最大化することができます。