犯罪・刑事事件の解決事例
#建物明け渡し・立ち退き

賃借人と占有者が異なる不動産の明け渡し

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栗田 泰吉 弁護士が解決
所属事務所まどか法律事務所
所在地静岡県 静岡市葵区

この事例の依頼主

年齢・性別 非公開

相談前の状況

依頼者が貸与した土地に建物を建てて所有するA社(土地の賃借人)に対して、地代の未払いを理由として建物収去土地明け渡しを求めたところ、建物内の従業員がB社に雇われていること判明。借地上の建物の所有者とは異なるB社が建物を占有している可能性があり、A社とB社に対してどのような手続きで明け渡しの手続きを行ったら良いかが問題となりました。

解決への流れ

まず、貸与した土地上に建てられた建物の占有者を特定するため、弁護士会照会を行い、建物の水道、電気、電話の契約主体の調査を行いました。調査の結果、これらの契約の主体がB社であり、B社が建物を占有していることが判明しましたので、B社に対し、占有移転禁止仮処分の申立てを行った上で、A社に対しては建物収去土地明渡請求訴訟、B社に対しては建物退去土地明渡請求訴訟を提起し、2つの事件の明け渡しの判決を得た上で、強制執行の申立を行いました。最終的には、強制執行によって、貸与した土地に建てられた建物が取り壊され、依頼者が更地の土地の明け渡しを受けることができました。

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栗田 泰吉 弁護士からのコメント

貸与した不動産の明け渡しを求める場合に、不動産の所有者、賃借人と、実際に不動産を使用する占有者が異なる場合があります。この場合、土地又は建物の明け渡しを行うためには、不動産の所有者又は賃借人に対して明渡請求訴訟を提起するだけでなく、不動産の占有者に対して明渡請求訴訟を行う必要がありますが、明け渡しの執行を免れる目的で、占有者が別の者に不動産を使用させて占有を移転するおそれがありますので、このような場合に備えて、訴訟の提起前に、民事保全手続として、占有者を固定する占有移転禁止仮処分の申立てを行う必要があります。事例のように、法人が不動産を占有している場合には、占有者を特定するため、弁護士会照会などの調査が必要な場合がありますし、訴訟で明け渡しの判決を得た後、不動産の明け渡しを行うためには明け渡しの執行手続を行わなければなりません。このように、不動産の明け渡しの手続きにおいては、弁護士の関与が必要不可欠です。しかも、不動産の明け渡しの手続きでは、法律の理解だけでなく、法律に基づいた実際の手続きの経験が必要とされますので、不動産の明け渡しの手続きを経験した弁護士に相談・依頼することをお勧めします。なお、事例のようなケースで建物収去土地明渡の執行手続きを実現するためには、司法書士、土地家屋調査士等の士業や建物の解体業者、不動産業者の方々の連携が必要となりますので、これらの方々と連携して手続きを進めることができる弁護士に相談・依頼をすればより円滑に手続きを進めることができます。