相談者は長年夫と婚姻生活を送り、子どもたちもすでに独立していました。相談者は夫からの長年の暴言やモラハラ等に耐えながら子どもたちのために婚姻生活を継続してきましたが、ふとしたことから夫のプライドを傷つける発言をし、それをきっかけに夫から離婚を切り出されるに至りました。夫は、財産分与など一切渡さないと高圧的に相談者に言い放ち、別居に至りますが、相談者としては、法律上認められる財産分与については何としても確保したいとのことでした。

夫婦間の資産として現状めぼしいものとしては、夫が近々会社を退職するにあたり会社から支給される退職金約2000万円と車くらいだとのことでした。その他に負債もあるとのことで、もし夫が退職金を手にすれば、負債の返済に充てられ、残金はどこかに隠され、夫が行方不明となるおそれすらありました。そこで、まずは、退職金債権を仮差押えしたうえで離婚の手続を進めることを助言しました。裁判所に「被保全債権」と「保全の必要性」を十分に疎明したうえ仮差押えを認めてもらい、財産を保全したうえでまずは調停で話し合いをしたところ、夫側も最終的に折れてきて、円満に調停段階で早期解決することができ、相応の解決金も確保することができました。