犯罪・刑事事件の解決事例
#知的財産・特許

クライアントの商品について、自社の実用新案権を侵害していると取引先に告知するなど営業誹謗行為を行っていた会社に対して、不正競争防止法に基づいて当該行為の差止めや損害賠償を求めて提訴し、認容された事例

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川村 和久 弁護士が解決
所属事務所川村・藤岡綜合法律事務所
所在地大阪府 大阪市西区

この事例の依頼主

年齢・性別 非公開

相談前の状況

クライアントはインテリア家具を製造販売する会社。クライアントの製造販売する安定高座椅子について、同業他社よりこの製品が同社の保有する実用新案権に抵触するので製造販売を中止せよとの内容証明が送られてきました。また、同時に同社はクライアントの取引先に対しても、クライアントの商品が実用新案に抵触している旨を通知するなど営業誹謗行為を行っていました。実は、この営業誹謗行為が行われる前に、別件で、クライアントが当該同業他社に対し、同社の商品(キッチンキャビネット)の販売がクライアントの販売する商品のデッドコピー(形態模倣)であるとして不正競争防止法に基づいて仮処分を申し立て、クライアントの請求をほぼ認める形での和解が成立していました。上記の営業誹謗行為はこのことに対する意趣返しと思われました。

解決への流れ

調査すると、当該同業他社は実用新案権の登録後、特許庁から当該実用新案の技術評価書を取得しており、その評価は本件考案を「2」(この請求項に係る考案は、引用文献の記載からみて、進歩性がない)とするものでした。しかも、本来実用新案の権利行使をするには、当該技術評価書を提示して警告した後でなければならないと不正競争防止法に定められているにも関わらず、同社はそのルールすら守っていません。当職はクライアントを代理して同業他社を相手取り裁判所に提訴しました。裁判では、当方は、同業他社の実用新案権は進歩性を欠いて無効であることを主張し、同社の営業誹謗行為を差止めることと330万円の損害賠償を支払うことを命じるよう求めました。裁判では当方の主張が認められ、同業他社に対して、当該実用新案権の無効を前提に、営業誹謗行為の差止めと当社に88万円の損害賠償の支払をなすことが命じられました。

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川村 和久 弁護士からのコメント

裁判に至る前、当職から相手方の代理人に対し、本件考案は進歩性を欠き実用新案は無効であること、技術評価書の提示もないまま、クライアントや通知先に対し、クライアントの商品が実用新案権に抵触し、クライアントが違法な行為を行っている旨告知することは、クライアントの営業上の信用を害する虚偽の事実の告知にあたるものであり不正競争行為にあたるとして、謝罪及び通知の撤回を求めたのでしたが、相手方からは全く回答がありませんでした。そこでやむなく提訴せざるを得ませんでしたが、裁判所は、当方の主張を認めてくれるとともに、営業誹謗行為による信用毀損の無形損害(の額)についても、かなり丁寧に当方の主張を汲み取っていただきました。この事案については裁判所HPの「裁判例情報」にアップされるとともに、後日判例時報 2271号113頁にも登載されました。大阪地方裁判所平成27年3月26日判決http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail7?id=85080http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/080/085080_hanrei.pdf