この事例の依頼主
40代 男性
相談前の状況
飲食店チェーンを展開する企業で、元店長をしていた従業員から未払賃金請求訴訟を提起されました。依頼者は会社の売上げも芳しくないことや相手方の勤務態度が悪いこともあって、全く支払いの必要がないと考えていました。それを措いても、当該従業員の請求は労働時間に疑問があったこと、管理職と言う余地もあったことから、法的にも疑義があるものでした。
解決への流れ
訴訟においては、①労働者性、②管理監督者性、③労働時間が実際よりも過大計上していることを主張しました。実態を見ると、労働者性や管理監督者性が認められる見通しはかなり厳しく、主に労働時間を中心に争いました。最終的には、請求額の4割程度の金額に減額し、長期分割の条件で和解が成立し、解決することができました。
労働者性や管理監督者性は、個別の事情を踏まえて判断されること、裁判所は労働者寄りの判断をしがちなため、細かな事実の調査と裏付資料の収集に時間をかけました。ところが、調査を進めるほど、労働時間の拘束や、経営に関する権限・裁量はなく、名目的なものにすぎないことが浮き彫りになるばかりでした。そのため、弁護士として、依頼者の希望を尊重しつつも、労働時間についても丁寧に争うことの重要性を丁寧に説明し、方針に納得していただきました。最終的には、裁判所の心証は、労働者性を認め、管理監督者性を否定し、時間外労働を認めるもので、相手方の請求を斥けるものではありませんでした。しかし、時間外労働は、当初相手方が主張していた時間よりもかなり短時間での認定であり、支払総額はかなり減額することに成功しました。また、交渉の結果、一括払いが原則であるところ、長期分割払いの条件で和解をすることができました。結果的に、双方が譲歩する形で、無理のない合意をすることができました。