犯罪・刑事事件の解決事例
#財産目録・調査 . #遺産分割

兄弟が多額の生前贈与を隠している

Lawyer Image
大上 岳彦 弁護士が解決
所属事務所弁護士法人キャストグローバル大阪高槻オフィス
所在地大阪府 高槻市

この事例の依頼主

年齢・性別 非公開

相談前の状況

本件は、滋賀二郎(依頼者、二男)の父親が亡くなった後、滋賀二郎(依頼者、二男)を含む兄妹姉妹4人の間で遺産分割協議がまとまらず、ほかの相続人3人が弁護士を立てて、滋賀二郎(依頼者、二男)を相手方として遺産分割調停を申し立てた、という事件です。滋賀二郎(依頼者、二男)は、父の生前、自分以外の兄弟(滋賀一郎と滋賀花子)が多額の生前贈与を受けていた事実を知っていました。ところが、いざ遺産分割の話合いになったとたん、滋賀一郎(長男)、滋賀花子(長女)は、過去の生前贈与の事実を一切否定する態度をとり、滋賀二郎(依頼者、二男)にとって一方的に不利益な遺産分割案に判を押すよう迫ってきました。多額の生前贈与を受けながら事実を否定する兄たちの姿勢に納得できない滋賀二郎(依頼者、二男)は、生前贈与の事実を証明すべく、弊事務所に来る前、既に別の弁護士に依頼をして遺産分割調停手続きを進めていました。しかし、最初の弁護士は、滋賀二郎(依頼者、二男)が過去の事実関係についていくら詳細に話しても、「それは古い話だからねえ」、「昔の話すぎて、立証が難しいですよ」などと何かと理由をつけてあまり真剣に取り合ってもらえず、とにかく早期に穏便に解決することばかりを勧められたようです。滋賀二郎(依頼者、二男)は、最初の弁護士にきちんと言い分を汲み取ってもらえない、との懸念を感じておられたようで、そんなときに、人づてに当事務所の存在を知り、ご相談に来られたのです。

解決への流れ

事情の聴き取りと滋賀二郎(依頼者、二男)の持参資料の内容を検討した結果、担当弁護士から滋賀二郎(依頼者、二男)には以下の方針を示しました。まず、滋賀一郎(長男)が隠匿していると思われる株については、生前の父がある時期まで保有していたことの証拠を収集し、それが譲渡されていることを突き詰めて、本人に認めさせることとしました。不動産評価額については、厳密に評価しようとすると不動産鑑定士への依頼が必要となるのですが、そうすると鑑定費用だけでも数十万円の負担となることから、まずは遺産のある土地の不動産価格に精通する地場の不動産屋さんに依頼して査定を出してもらい、その査定額を基準に交渉をすすめることにしました。また、滋賀一郎(長男)や滋賀花子(長女)が隠している生前贈与の事実については、幸いにも父が過去数十年にわたって書き残していた膨大な量の家計簿が残されていましたので、家計簿の記載をしらみつぶしに調べて、該当する記載を整理して、できる限り追求していくことになりました。こうした事件の解決方針について滋賀二郎(依頼者、二男)が納得してくださり、弁護士を変更して我々に依頼を希望され、新たに我々が代理人に就任することとなりました。滋賀一郎(長男)、滋賀花子(長女)はあくまで争う姿勢でしたが、最終的には裁判所も滋賀一郎(長男)や滋賀花子(長女)への多額の生前贈与があったことは事実であると判断し、これらを特別受益として考慮したうえでの遺産分割案を相続人らに提示するに至りました。裁判所の分割案は、当方の特別受益の主張をほぼ事実として認めたうえで、滋賀一郎(長男)や滋賀花子(長女)への譲歩案として一部の生前贈与をあえて特別受益としないこととし、他方、滋賀二郎(依頼者、二男)側への配慮から不動産評価額については滋賀二郎(依頼者、二男)側の査定額を採用する(つまり、評価額上は不動産を取る滋賀二郎(依頼者、二男)に有利となる)というものでした。双方の主張への配慮と実際の分割のバランスが絶妙に調整された案であったため、若干の修正はあったものの全当事者が納得して合意に至り、調停成立により紛争の解決がなされました。

Lawyer Image
大上 岳彦 弁護士からのコメント

長い時間を要しましたが、当初の分割案よりも滋賀二郎(依頼者、二男)の取得分は大幅に増え、また、滋賀二郎(依頼者、二男)の方からは、何よりも自らの長年の主張がしっかりと事実として裁判所に認めてもらえたことを、非常に喜んでいただけました。