この事例の依頼主
50代 男性
とある刑事事件の案件(依頼者の希望により,具体的な罪名は控えさせていただきます)で,現行犯として任意聴取され,犯罪事実を認めたことから逮捕はされず,一旦釈放されたという段階で,相談を受けました。刑事処分を受ければ会社を解雇される可能性もあるという状況であり,示談が成立すれば不起訴処分になる可能性も十分あったため,被害者との示談交渉を主として受任しました。
警察署を通して被害者の方と連絡が取れたため,示談交渉を開始しました。被害者の方はお金の問題ではなく刑事処分を受けて欲しいと希望されていました。当職より,今後刑事訴追される可能性の低さ(犯行を認め,反省の態度を示していること,会社からは自宅待機を命じられており社会的制裁を一定程度受けていること,会社からさらなる処分が下される可能性も十分あること,罪名が他と比較すれば軽微であること(もちろん被害者の方にとっては量刑の軽重は関係ないことは当然ですと前置きした上で)などから,仮に処分が下ったとしても低額の罰金刑が下る程度で,おそらく起訴されて裁判になるということはないことを御説明しました。その上で,依頼者は反省を示す意味で罰金として想定される金額の倍の金額を賠償金として支払う意思を有していること,きちんとした罰を与えたいという被害者の方の思いを実現する一つの手段として,金銭的な支出を加害者にさせるという方法もあるということを説明し,交渉を続けました。その結果,依頼者から提案のあった賠償金の範囲内で示談が成立し,最終的には示談が成立したことが考慮されて不起訴処分(起訴されたり罰金などの処分を受けずに事件が終了となること)となりました。不起訴処分となったことで,解雇や解雇同等の重い処分を会社から受けることもありませんでした。
本件は,示談交渉の結果,示談が成立したことで,不起訴処分となり,依頼者は会社も辞めずに済みました。刑事事件の加害者になるという事態は,避けたいところですが,本人や家族が刑事事件の加害者になってしまうというケースは世の中にたくさんあります。弁護士も一般市民として生活をしており,犯罪被害に対しては許せないという思いを持っているのが普通です。ですが,刑事弁護は弁護士にのみ許された仕事であり,弁護士である以上避けては通れない使命でもあります。加害者やその御家族にも生活があり,法律で規定された処罰以上の重い制裁を受けるということを避けるためにも,弁護士のサポートが必要なケースが多いと言えます。そのために要となるのが示談交渉であり,当職は年間20件前後の刑事事件を扱っていることから,示談交渉の実績は豊富です。示談交渉にあたっては,依頼者の希望を丁寧に聞き取った上で,被害者の訴えを誠実に聞き取り,双方が納得の行く解決を目指して交渉を行うよう心がけています。示談が成立すれば不起訴処分となるケースも数多くありますので,お困りの際には御相談ください。