この事例の依頼主
40代 女性
相談前の状況
ご相談者様は会社の代表者であり、筆頭株主でした。会社の資金繰りが苦しくなり、株式を担保に資金提供を受けたと思っていたところ、契約書上は、株式を譲渡したことになっており、会社を乗っ取られそうになったことから、ご相談にお越しになりました。
解決への流れ
ご相談にお越しの時点で、株式を取得したとされる相手方から、株主総会開催許可申立手続きがとられ、このままいけば、株主総会が開催され、ご相談者様が役員から排除され、完全に会社が乗っ取られてしまう状態でした。そこで、まずは、株主総会開催禁止の仮処分手続きをとり、ご相談者様を役員から排除する内容の株主総会が開催されないように対処し、相手と交渉する時間を作りました。とはいえ、作成されている書面上は、相手の主張に有利なものが多かったため交渉は難航しましたが、粘り強く交渉を行った結果、一定の対価の支払い(会社の一部の事業譲渡)を条件に、株式を取り戻すことができ、会社の乗っ取りを防ぐことができました。
会社経営において、資金繰りが苦しくなってくると、冷静な判断ができなくなり、普段からは想像もできない行動に出ることもあります。本件も、資金繰りが苦しい状況に付け込まれ、相手の思うように株式譲渡契約を締結させられた事案でした。会社法が関係するトラブルには、裁判手続きを取ることができる期間制限が設けられているものもあり、時間が進むにつれて状況が変化していき対応が困難になることもあります。そのため、他の事案以上に素早い対応が肝心です。お困りの際は、弁護士にご相談ください。