この事例の依頼主
40代 男性
相談前の状況
40代の男性が、飲食店で他の客と口論になり、相手を殴ってしまったということで逮捕・勾留されました。依頼者の方は、長年にわたり同じ会社に勤務し、管理職に就いていましたが、勾留が長引くと、会社に逮捕された事実がわかり解雇されるおそれがあったため、早期に釈放してほしいとのことでした。
解決への流れ
逮捕された場合、最長で72時間身柄拘束が続きますが、さらに捜査の必要があると判断されると、検察官は裁判所に勾留の請求をします。裁判所から勾留許可の決定がなされると、さらに10日間(その後延長される可能性あり)の身柄拘束を受けることになります。勾留決定後に、正式に依頼がありましたが、すぐに奥様とお会いし、身元引受人となってもらうとともに、裁判所に勾留決定を取消すように求める準抗告を行いました。準抗告の申立てとともに担当裁判官と面談し、依頼者が会社内でしっかりとした地位があり、逃げる危険性がないこと、身柄拘束が長期化すると、会社から解雇されるおそれがあること、奥様が身元引受人となって、依頼者をしっかり監督することを約束していることなどを、丁寧に説明ました。裁判官は、こちらの事情を考慮し、勾留決定を取消す決定を出しました。依頼者は、勾留決定の翌日には無事釈放されました。
逮捕されてしまった場合、身柄拘束が長期化するおそれがあります。身柄拘束が長期化した場合には、会社などにも逮捕の事実が知られてしまい、解雇処分を受けるなど、大きな損害を受けてしまうおそれがあります。そこで、早期に身柄拘束を解いてもらうよう、即時に適切な対応をとることが不可欠です。準抗告が認められる確率は高いとはいえませんが、昔よりは認められやすくなっています。準抗告を認めてもらうためには、釈放後の生活環境を整えることや、身柄拘束が続くことによって、本人がどれだけ不利益を受けるかなどの点を、資料とともに丁寧に裁判官に説明しなければなりません。そのために、弁護人が果たす役割は重要だといえるでしょう。