犯罪・刑事事件の解決事例
#財産目録・調査 . #相続登記・名義変更 . #遺産分割 . #相続人調査

【遺産分割】相続人と疎遠で住所も分からず遺産分割協議の話し合いができない。

Lawyer Image
大賀 一慶 弁護士が解決
所属事務所弁護士法人ONE本社オフィス
所在地山口県 下関市

この事例の依頼主

60代 男性

相談前の状況

Aさんは,父が亡くなったことから遺産分割協議を行い,遺産を整理しようと考えていました。しかし,Aさんの兄弟Bさんは既に亡くなっており,兄弟Bさんのお子さん3名(Cさん,Dさん,Eさん)が相続人になっていました。Aさんの甥,姪にあたる方達です。Cさんは関東圏,Dさんは東北地方,Eさんは所在不明という状況で具体的な住所まではわからず,連絡も取り合っていない状況でした。Aさんは遺産を放置することになるので,早急に遺産分割手続を行いたいと考えていましたが,話し合いができないことから困ってしまい,相談に来られました。

解決への流れ

Aさんから遺産分割協議の交渉事件として依頼を受けました。そこで,まず,相続人を確定させるために被相続人の戸籍を取り寄せ,相続人を確定させました。戸籍を取得する中でCさん,Dさん,Eさんの住所についても住民票等を取得して調査を行いました。Cさん,Dさん,Eさんの住所が判明したため,Aさんの父の相続人になっていることや,遺産分割協議を行って遺産共有状態を解消しなければならないことなどを書面にて説明をし,Cさんらから連絡が来るのを待ちました。それぞれ弁護士に連絡があり,意見を聞きました。3名のうち2名は遺産はいらないという回答でした。というのも遺産の中には,多額の預貯金もありましたが,山林や田畑が多く含まれており,相続しても関東圏などに住んでいるCさんらには管理ができないため,預貯金も放棄するから山林等についても相続しないようにしたいというのが回答の理由でした。Eさんは,不動産は相続したくないが,預貯金は相続したいという意向でした。Aさんは父が亡くなる前から遺産の山林や田畑の管理をしていたので,不動産を相続することに異論はありませんでした。その代わり管理費用として預貯金はなるべく多く相続したいという意向がありました。したがって,預貯金だけ相続したいという意向を持ったEさんとだけ意見の相違がみられました。そこで,弁護士は,Eさんに預貯金を放棄してもらう代わりに山林等も相続させないことで合意をしてもらえないか交渉をしました。具体的には合意をして頂けない場合には,遺産分割調停,審判手続へ移行せざるを得ないこと,審判となればAさんも不動産をなるべく相続しない方が管理費用も少なくなるため,不動産を現物分割することになる可能性があることを伝えました。現物分割とは,おおまかに言えば,1つの不動産を複数の不動産に切り分け,相続人にそれぞれ配分して単独所有とする共有状態の解消方法です。したがって山林や田畑を2つに分け,その1つをEさんの単独所有とすることになります。そうなれば,Eさんは預貯金を相続できる代わりに遠方にある山林の管理をしなければならなくなります。管理を怠って事件,事故が発生すればEさんは賠償責任などの法的責任を追及される可能性もあります。Eさんは弁護士の提案とその説明を受け,預貯金を放棄する代わりに山林等の不動産も相続させないでほしいという意向に変化しました。その結果,Aさんが全ての預貯金,山林等の不動産を相続し,他の相続人は何も相続しないという内容で協議が成立しました。Aさんの希望どおりになりました。その後,弁護士が遺産分割協議書を作成し,相続人全員の署名と押印を取り付け,預貯金の引き出し,不動産の登記名義の変更を済ませて解決となりました。

Lawyer Image
大賀 一慶 弁護士からのコメント

①相続人の居所がわからなくても調査をして話し合いをすることは可能です。弁護士は職務上請求という制度により業務を遂行するために必要があるときは,戸籍等を取得することができることが法律で認められています。そのため,遠方であったり,疎遠であったりするために連絡先や住所がわからないといった場合でも,相続人の住所等を調査することができる場合があります。したがって,連絡先や住所がわからない場合でも遺産分割協議を行うことが可能になります。このような場合でもご相談頂ければご協力できることがあると思いますので,1度相談に来てください。②弁護士に依頼することのメリットAさんの事案では,審判手続になった場合にはEさんに不利益な結果となることがあることを説明して,Eさんに理解をして頂いたことでスムーズに,またAさんの希望どおりの解決とすることができました。このような解決ができるのは弁護士ならではでないかと考えています。なぜなら,弁護士は遺産分割協議が成立しなかった場合のその先の手続に対する知識,理解があるからです。その後,どのような結果となるかを見通すには,手続の知識と理解が必要ですし,実際にその手続を利用して解決をした経験がなければなりません。その知識・経験の下に交渉を行えば,相手方も争うのを諦めることもあるでしょう。Aさんの事案はまさに功を奏した事案でした。