この事例の依頼主
20代 男性
相談前の状況
依頼者は、小学生の頃から日本で生活していた外国人ですが、当時から在留資格のないいわゆるオーバーステイの状態でした。母親も在留資格がなく、依頼者が中学校を卒業した後は隠れるように生活していました。母親が日本人と結婚したことを理由に入国管理局に出頭したところ、すでに依頼者と母親に対しては退去強制令書が発付されており、二人とも入国管理局に収容されてしまいました。
解決への流れ
依頼者と母親は、すでに退去強制令書発付処分の取消請求訴訟の提訴期間を過ぎていたため、在留特別許可の義務付け訴訟を提起しました。訴訟提起した当時、依頼者は日本人女性と交際しており、判決が出るまでには日本人女性と結婚していました。裁判所は、依頼者に対しては、幼いころから日本で生活していること、日本人女性と結婚していることなどを理由に在留特別許可を義務付ける判決をしました。
退去強制令書に対する取消訴訟の提訴期間が過ぎた案件については、再審情願か在留特別許可の義務付け訴訟を行うしか方法がないのが一般的です。しかしながら、在留特別許可の義務付け訴訟はほとんど勝訴することはできないのが実情で、本件はとても希少なケースです。ただ、義務付け訴訟の途中で、裁判所から入国管理局に対して、「ビザを出してあげたらどうか」という勧告がなされることはあります。あきらめずに戦っていくことも重要です。なお、母親は敗訴しましたが、いったん帰国した後、2年後には入国が認められ、日本人夫と幸せに暮らしています。