犯罪・刑事事件の解決事例
#DV・暴力 . #性格の不一致 . #離婚請求 . #婚姻費用 . #別居

離婚調停(申立人)、離婚訴訟(原告):被告代理人からいわれない暴行や虐待を理由として有責配偶者と主張されるも当然その証拠はなく、御依頼者様の希望どおり長期別居を理由として和解による離婚で解決した事例

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小杉 和 弁護士が解決
所属事務所法律事務所オフィス・エトワレ
所在地京都府 京都市下京区

この事例の依頼主

年齢・性別 非公開

相談前の状況

御依頼者様は、比較的若い頃に知り合った配偶者と結婚されていましたが、相手の生活がきつく、言葉もかなり辛い言葉を吐き、時には暴力まで振るう有様で、結婚してすぐから結婚生活に嫌気がさしていました。お子さんの人間関係を巡るトラブルに関して御依頼者様が配偶者と言い合いになったことがあり、その際に配偶者から顔面に対する暴力があったことから、御依頼者様もやり返して左肩を殴ってしまい、その勢いで家を出て、それ以来家には戻っていませんでした。御相談にいらっしゃった時点で既にほぼ4年の別居期間が経過していました。離婚調停を既に申し立てているとのことでしたが、やはり代理人を付けた方が良いと思い、複数の弁護士に相談されていたと後で伺いました。

解決への流れ

最初は弁護士報酬をお支払することが大変な様子でしたが、ある時それが工面できたとのことで、正式に受任して、離婚調停の第2回期日から代理人として参加しました。期日は裁判所に赴いて2人で参加しましたが、他の方が言うように、調停委員の態度が1人だった時と全く違って、明らかにこちらに配慮する姿勢が見られたというようなことをおっしゃっていました。その後、離婚調停は条件で折り合うことができなかったことから不成立となりました。続く離婚訴訟では、配偶者に代理人が付きました。しかしこの代理人が、無理矢理御依頼者様が暴行をしていたり、虐待をしている人間で、仮に離婚が認められるとしても、御依頼者様は有責配偶者であるという主張をしてきました。そのような主張の勢いで、相当金額の慰謝料も請求してきました。私としては、御依頼者様が誠実に生きていらっしゃることはお話をしていて分かっていましたので、その無理矢理な主張が裁判で通ることはないと思いつつ、万全の備えで訴訟に臨みました。離婚訴訟では当事者の尋問まで行い、結果として、被告つまり配偶者側の主張は全く認められず、長期別居による離婚が認められることになりました。当たり前のことですが、被告からの法外な慰謝料は1円も認められませんでした。養育費も問題になりましたが、当初算出された金額よりも低い金額で御依頼者様も納得できる水準まで下がりましたので、御依頼者様はこの結果にも大いに満足されていました。そのようなわけで、最終的には御依頼者様の御希望どおり、養育費以外の負担はすることなく無事離婚をすることができました。御依頼者様はようやく離婚が成立し、大変喜ばれていて、私も無体な請求を退けたこともあり、満足感が高かったです。

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小杉 和 弁護士からのコメント

離婚調停の途中に、配偶者から婚姻費用請求調停が起こされ、その点についての判断が出たということもありました。離婚では様々な利益が問題となりますので、複数の調停が同時進行することがままあります。離婚については、調停前置主義とされていることから、合意の上で離婚届を提出する協議離婚の場合以外、離婚について争いがある場合にはまず離婚調停から手続が始まります。調停はあくまで任意の話合い、譲り合いの場ですから、お互いの条件が折り合わずに不成立となることはあり得ることです。本事例でもそのようになり、御依頼者様が離婚訴訟を提起するこになりました。その後の離婚訴訟では、裁判官が両当事者から各種資料(主に財産についての資料)の提出を受けて、それを基にして離婚後の財産の分配等を判断していくことになります。それ以前にまずは離婚を認めるか、法律で定められた離婚事由があるかどうかについての判断も必要になります。本事例では、調停申立て時点で御依頼者様と配偶者の別居から既に約4年間が経過しており、判例上は婚姻関係の事実上の破綻を認定するに足りる年月の別居期間があったことから、裁判官は、御依頼者様からの離婚の請求は認められるとの判断を前提に手続を進められていたのだと今から振り返れば分かります。別居期間については少なくとも3年間の経過が必要ですが、事例により異なりますので、安易に判断せずにやはりまずは弁護士に御相談ください。逆に言うとそれよりも短い別居期間で、相手方に大きな落ち度(DV等)でもない限りは訴訟で離婚が認められる可能性は低く、調停でも譲歩を強いられるでしょうし、訴訟では請求が認められないか、大幅な譲歩の末に認められることになるでしょう。このようなことを考慮した上で離婚の手続を進めるか否かについて御判断いただければと思います。不利な戦いをあえて戦う意義は薄く、やはり勝てる戦に臨むべきだと思います。別居期間が短ければ少し待つ必要があるということです。その間に婚姻費用の請求ができるようであればしておくべきだと思います。本事例では、後から参入してきた配偶者の代理人弁護士の余計な主張があったものの、最終的に御依頼者様の御希望どおりの和解が成立して無事離婚ができました。ただ、御依頼者様は、この弁護士が後から来て余計な主張さえしなければ、もう少し早く離婚できていたのではないかと漏らしていて、それはその通りだと思った次第です。もし仮に私が相手方の代理人であったならば、訴訟では絶対に通らない無理矢理な主張などは絶対にせずに、裁判官が認めるであろう着地点を見計らって、依頼者(この仮定では御依頼者様の配偶者)の利益をできるだけ確保できるような和解が成立するように動いたと思います。無理矢理な主張をあおったり、自らがやったことをやっていないかのように偽装するように唆したり、偽の証拠を作成したりといったことをする弁護士も確かに存在しており、もし甘い言葉でそのようなことを言う弁護士がいても、結局は訴訟で裁判官に見抜かれ、本事例のように勝てないことになってしまいます。そのような弁護士に頼むのは、自らの利益を棒に振ることになりかねないのでやめにして、至極まっとうに事実をしっかり追って、それに従って訴訟の見立てをしてくれる弁護士を見つけ、そのような弁護士に相談し、必要であれば依頼するようにしていただくことを是非お勧めいたします。