犯罪・刑事事件の解決事例
#給料・残業代請求

残業代として1500万円超(5名分)を勝ち取りました

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高木 士郎 弁護士が解決
所属事務所九州合同法律事務所
所在地福岡県 福岡市東区

この事例の依頼主

年齢・性別 非公開

相談前の状況

相談者は、運輸業界で働いておられる方々で、会社の退勤管理がずさんで、給与制度の変更も勝手に度々なされ、正しく残業代が支払われていないのではないか、との疑問をお持ちになって当職のところにいらっしゃいました。

解決への流れ

まず詳しくお話を聞くと、タイムカードはあるものの会社による改ざんがなされている可能性があり、そこに反映されていない労働実態があること、タイムカード以外にも労働実態を示す資料は複数あるはずだが紙ベースであったりして一括しての把握が難しいことなどがわかりました。また、会社は過去にも残業代未払いについて裁判所で争われていたため、今回もうかつに対応すると証拠隠滅を図るおそれがあることから、迅速な証拠確保が必要であることもわかりました。そこで、証拠保全を実施し、裁判官とともに会社に踏み込んで、タイムカードや賃金台帳などの資料を押さえました。そのうえで労働審判を申し立て残業代を請求しました。労働審判では5名に対して合計で800万円超の支払いを命じる審判が出されましたが、会社側は支払いに応じず、訴訟へと移行しました。訴訟では、労働実態の解明のみならず、固定残業代の定めの有効性など多くの争点がありましたが、証拠の積み重ねで相手方を論破し、裁判所から1500万円超の金額での和解案を引き出すことに成功し、それをベースとした和解が成立しました。

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高木 士郎 弁護士からのコメント

本件は、運輸職という残業が恒常的に発生しやすい職種で、かつ呼出に応じて出動するという勤務上の特殊性もあったことから、休憩時間が実際にはどれくらいであったかが大きな争点となりました。また、会社側は就業規則を変更し、従来は手当としていたものを固定残業代とするという内容にしており、それは既払い残業代として控除すべきとも主張していましたし、労働審判の段階では固定残業代の定めは有効との前提で金額が計算されていましたので、訴訟では就業帰国の不利益変更にあたり無効であるとの主張に重点を置いた戦いを行いました。その結果、固定残業代の定めは無効であることを前提とする和解案を裁判所から引き出すことができました。この点が、労働審判から訴訟への移行で、結果的に倍近くの金額が獲得できることになた要因だと考えます。本件は、証拠保全により速やかに証拠を押さえることができたことが、その後の主張立証活動に大きな影響を与えました。時間とともに資料は散逸してしまいますので、早めの相談はとても重要であると思います。