この事例の依頼主
女性
相談前の状況
離婚を希望する女性が依頼者です。婚姻期間は,10年未満で,子どもが1人いらっしゃるという方でした。相談時には,既に別居しており,ご自身で離婚調停の申立をしており,既に5,6回の期日に臨んでいたとのいうことでした。離婚を決意するに至った動機は,相手方が生活費を渡してくれないということです。その調停の中では,相手方は離婚に応じようとせず,離婚条件等の話合いはなされておらず,調停委員からも次回期日では,とりあえず別居に当たっての条件を話し合うようにしましょうなどと言われ,本人の意図しない方向に調停が進みかけている状態でした。
解決への流れ
相談を受けて,別居に伴う条件を決めるという流れを変えるためには,強い決意で離婚を主張するしかないという方針で事件を受任しました。具体的には,次回の調停期日で,調停での話合いで離婚に応じないならば,調停は不成立とした上で,離婚訴訟を提起すると主張しました。すると,相手方は,一転して,離婚自体には応じる意向を示し,その条件について話し合いたい旨述べました。離婚条件については,依頼者本人の意向を踏まえて,相手方と調整し,適正妥当な内容になったものと考えています。結局,受任してからは,2回の期日で離婚成立となりました。
弁護士が介入することで早期に解決することができた事例であると思います。もっとも,調停はあくまで話合いで,相手のあることですから,常に早期に,こちらの思惑どおりに解決できるわけではありません。むしろ,今回のようにスピード解決ができるということの方が例外的です。しかしながら,離婚調停においては,離婚を希望する側の本気度を分からせるという必要があるように思います。弁護士を介入させること自体,一定のコストも負担しているわけですから,相当の本気度の表れであるといえます。その上で,離婚調停が不成立になれば,直ちに訴訟を提起するという主張は,相手方を「離婚やむなし」と考えさせるために有益でした。もっとも,中には,それで離婚訴訟に移行するということもありうるところですが,離婚の強い決意がある場合には,訴訟も辞さない構えというものが重要です。