犯罪・刑事事件の解決事例
#給料・残業代請求

出社を拒否する会社から給料相当額の支払いを受けました。

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飯田 貴大 弁護士が解決
所属事務所県民合同法律会計事務所
所在地千葉県 千葉市中央区

この事例の依頼主

50代 男性

相談前の状況

メニエール病を患い,しばらく休職をすることを余儀なくされました。治療に専念した結果,職場復帰をしても大丈夫であるとの医師の判断を得ましたので,職場復帰を会社に求めましたが,職場復帰を拒否されてしまいました。何度も人事担当者とお話しをしましたが,黙殺されてしまい,一向に話合いが進展せず,時間だけが過ぎていきました。そこで,弁護士に対応を依頼し,職場復帰と補償を会社に求めることになりました。

解決への流れ

事件を受任し,直ちに職場復帰を求めると共に,メニエール病が寛解しているにもかかわらず,出社できなかった分の給料相当額を請求しました。すると,相手方会社にも代理人弁護士が就任し,交渉の結果,職場復帰自体は早期に実現することが叶いました。相談者が職場復帰を拒んでいた期間の給料相当額の支払を巡っては話合いでは解決ができなかったので,訴訟を提起することになりました。裁判では,原告が労務の提供をしようとしているのに,被告会社がその受領を拒否したといえるか,その前提として,原告が債務の本旨に従った労務提供という履行ができるのかが争点となりました。原告の診断書だけではなくて,カルテの取り寄せなども行い,原告の疾病の内容,治療経過等も含めて丁寧な主張立証を重ねていった結果,裁判所からの和解勧試もあり,十分な解決金の支払を受けることができる内容の和解が成立しました。

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飯田 貴大 弁護士からのコメント

今回のようなケースで,労働者が債務の本旨に従った履行をしていることの立証責任は,労働者側にあります。そのために,医療記録の手配やその確認を踏まえて,労働者の労働能力に関する主張立証を積み重ねていきました。その上で,仮に,従前の職務内容としては復帰できないような体調であったとしても,片山組事件と呼ばれる最一小判平成10年4月9日判例タイムズ972号122頁は,「労働者が職種や業務内容を特定せずに労働契約を締結した場合においては,現に就業を命じられた特定の業務について労務の提供が十全にはできないとしても,その能力,経験,地位,当該企業の規模,業種,当該企業における労働者の配置・異動の実情及び難易等に照らして当該労働者が配置される現実的可能性があると認められる他の業務について労務の提供をすることができ,かつ,その提供を申し出ているならば,なお債務の本旨に従った履行の提供があると解するのが相当である。」と判示しており,この判示内容に依拠した主張も展開しました。その結果,裁判所から適切な和解勧試をいただき,最終的に相談者の方も満足いただける内容の和解を成立させることができました。