この事例の依頼主
30代 女性
相談前の状況
本事案も,解決事例③と同様,外国人妻と日本人夫との離婚事件でした。ウクライナ人妻は日本に居住し,日本人夫はウクライナに居住していました。妻は,日本で音楽家をしており,弊職の知人の音楽家を通じて紹介を受け,受任に至りました。
解決への流れ
事件に着手し,解決に尽力致しました。ウクライナ在住の日本人夫に対し,日本のウクライナ大使館を通じての訴状等の送達・呼出しも致しました。それにあたり,夫のウクライナ国内での住所確認のため,追跡可能なEMS(国際スピード郵便)を予め送付し,実際に夫がそこに住んでいるかどうかを確認して,送達を行いました。
本事案のような離婚事件では,どこの国で裁判を起こすかという問題(「国際裁判管轄」といいます)と,どこの国の法律に従って判断するかという問題(「準拠法の指定」といいます)があります。本事案では,当時の最高裁平成8年6月24日判決にしたがい,ウクライナの当時の経済情勢,子の養育状況,当事者の就労の状況等から,依頼主に最も利益が適合する日本で裁判を提起し,日本の法律に従って判断されるべきという,弊職の主張が認められました。日本と外国では,婚姻に関する制度が異なっている場合が多く,「国際裁判管轄」と「準拠法の指定」は,極めて重要な問題です。