この事例の依頼主
70代 女性
相談前の状況
解決事例①のマスメディアをご覧になった依頼主の親族の方が、同様の問題で死亡したとのことで、相談の上で受任致しました。この事案では、依頼者の親族の方は、B病院に入院して同病院の腹水検査で癌のステージ5であることが判明していました。その癌の原発場所を調査をするために、バリウムによる直腸検査をしましたが、その際に穿孔が生じました。
解決への流れ
解決事例①と同様に、証拠保全の申立てをし、カルテ等を入手して、協力医と相談の上で提訴しました。この事案では、裁判所は、医師の過失行為は認めましたが、死亡との間の因果関係の認定は難しいとのことで、和解を勧めてきました。その結果、500万円を支払う勝訴的和解に至りました。
この事案も、解決事例①と同様に、誰が見ても医療過誤だとするものではなく、正当な医療行為と過誤との境界線にあり、困難な事案でした。高齢者の医療過誤事件は、逸失利益の請求が困難なため、請求額が低くなる傾向があり、本件でも当初の請求額は約1400万円でした。その中で、500万円の和解額を認めた和解は、勝訴的な和解といえます。この事案の当時は、解決事例④のコメントで記載した、「相当程度の可能性の法理」が確立されていなかった時代でしたが、かかる判例法理の先駆け的な判決になったと考えております。