相談者と相手方は、それぞれ職を持つ、共働き夫婦でした。しかし、相談者と相手方の勤務時間について大きな差があるわけではなく、むしろ相談者の方が帰宅が遅いこともあるのに、家事がもっぱら相談者が受け持たされていました。しかも、そうして当然といわんばかりに相談者に対して威圧的な態度を取り、ときに相談者が冷静な話し合いを求めても、相手方は一方的に言い分を言った後は自室にこもってしまって今後の生活設計を含めた冷静な話ができずにいました。

相談者と相談の際、同居のままで離婚の協議、調停手続を進める方法もあるが、どうするかをまず検討しました。その結果、同居のままではとてもではないが精神的にもたないと思われましたので、相手方の言動について証拠を集めてもらいつつ、転居先を探していただき、転居して別居状態にしてから裁判所での調停手続を申し立てました。調停では、同居当時に、相談者が相手方とのやり取りにつかれて、財産分与もなにも要らないと送ったメールが財産分与請求権の放棄として有効といえるのかということが争いになりましたが、相手方の普段の言動や相談者の精神状態について丁寧に説明をし、裁判官からも放棄とはいえないと判断してもらったうえで、財産分与を受ける内容での調停離婚が成立し、解決となりました。