この事例の依頼主
30代 男性
相談前の状況
Aさんは妻が妊娠中にもかかわらず、電車内で痴漢を行い、逮捕されました。警察から連絡を受けた妻は気丈にもAさんのためにも、生まれてくる子どものためにも、なんとかAさんを助けたいという思いから、弁護士事務所に電話を架けてきました。
解決への流れ
妻は「信じられないが、もし事実とすれば同じ女性として謝罪をしたい」と弁護人(刑事事件の場合は「弁護人」と呼びます)の依頼をしました。弁護士はその日の夜にAさんがいる警察署に出向き、事実確認をしたところ、「間違いがない」ということでした。その事実を電話で妻に伝えると、妻は涙声でなんとか被害者に謝罪したいと話をしてきました。弁護士としては被害者と連絡をとれるか、示談に応じる意思があるか確認したうえで、Aさんの妻が出向いて謝罪することを被害者が認めるかを確認すると伝えました。その後、弁護士は被害者と会いましたが、被害者は妻の直接の謝罪を断りましたので、弁護士は妻の謝罪文を渡し、示談をしました。弁護士が被害者と示談成立まで3回会いました。弁護士は示談書を検察官に提出し、Aさんは釈放されました。
痴漢事件にかかわらず、刑事事件の加害者となった場合には、いかに被害者と示談を成立させるかが大きなポイントです。一番効果的な示談は、被害者から「許してもらう」ことですが、民事的な解決をすること(これ以上は請求しない)も刑事処分においては重要です。もっとも、被害者が示談に応じるか否かは、被害者の意向にすべてがかかっております。また、示談金については弁護士が相当と考える金額を提示したうえで、その後、被害者との交渉により合意を目指します。起訴猶予を得るためには、短期間で被害者のご都合を最優先しつつ交渉しなければならないので、機敏な活動が大切です。