犯罪・刑事事件の解決事例
#製造・販売

販売業務委託契約書の解釈について

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早津 花代 弁護士が解決
所属事務所法律事務所ブルーム
所在地東京都 千代田区

この事例の依頼主

年齢・性別 非公開

相談前の状況

販売業務委託契約を締結している企業様より、受託者から過大な販売手数料の請求を受けているとのご相談がありました。その契約書面の作成自体は、企業様がどこかで入手したものを多少変えて作成したものでした。そのため、契約書面を拝見すると、各条項の言葉が足らず、どのような場合にいくら手数料を払うのか、一目で判断できない内容の契約書でした。企業様は受託者を大切にしてきたため、受託者に有利に手数料を支払ってきました。それを逆手にとって受託者が過大な請求をしてきたという経緯が見受けられました。

解決への流れ

相手方が弁護士に委任したため、弁護士と交渉をしましたが、交渉は決裂し、支払訴訟が提起されました。契約書の言葉は法律文書として不足が多かったので、契約書の言葉のみではその内容を決められません。これは裁判官が判断しても同様です。委託関係の業務内容について、打合せで詳細に伺いました。出てきた事実をもとに、契約条項で使われている言葉の意味付けを俯瞰して考えると、当方に有利な解釈と結びつけられることに気づきました。証人尋問では、相手方は狡猾さが全面に出て弁護士の質問の意図を先取りして自己に有利なように証言する傾向がみられました。その一方、自尊心も非常に強い傾向がみられたたことから、その方向で質問を組み立てると、自尊心を満たす証言を悠々としましたが、その先の質問で自己に不利な発言をし、撤回する場面に至りました。結局、証人尋問後に、勝訴と同様の和解案が裁判官から示され、依頼者様のご希望に沿う解決ができました。

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早津 花代 弁護士からのコメント

法務を専門とする部署がない企業様では契約書面の作成で法的見地からの検討がされないまま契約締結に至ることがあるかと思います。関係がうまくいっているときはそれでもいいですが、そうでなくなったとき、契約書の言葉が曖昧であれば双方の対立は深まるばかりです。転ばぬ先の杖という予防法務の重要性を感じたご相談でした。また、依頼者様の業務の詳細な流れについては弁護士はわかっていません。裁判官も同様です。業務の実態は契約書の言葉の解釈を大きく左右します。依頼者様との綿密な打ち合わせにより業務形態を十分に理解し、その業務全体を俯瞰した結果、事実に一定の視点を与えることが成果につながりました。弁護士の仕事は依頼者様との十分なコミュニケーションなしには結果を得ることはできません。依頼者様と同じ目線で、かつ俯瞰した視点を持ち解決に臨むことの重要性を再確認した事案です。