犯罪・刑事事件の解決事例
#M&A・事業承継

主な遺産が会社の株式しか存在しない相続で、分割協議を成立させた事例

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中村 傑 弁護士が解決
所属事務所弁護士法人虎ノ門スクウェア法律事務所
所在地東京都 港区

この事例の依頼主

年齢・性別 非公開

相談前の状況

会社経営者である父親が死亡した案件で、その会社の後継者である長男が遺産を独り占めしようとしているとして、被相続人の妻と次男から相談を受けた。主な遺産は、会社の株式であり、会社の経営は、長男が引き継いでいた。その他、めぼしい財産は自宅と多少の預貯金しかなかった。遺言はなかった。法定相続分は、妻2分の1、長男4分の1、次男4分の1である。長男が会社の株式を全て引き継ぐと、妻と次男が自宅と預貯金を相続しても、法定相続分を大きく欠ける財産しか取得できないという状況であった。妻と次男は、会社経営には興味が無く、現金で精算してもらうことを望んでいた。しかしながら、長男も、妻と次男の相続分を精算するだけの現金を用意できなかった。

解決への流れ

まず、長男と面談し、会社の株式を長男に取得することを認める代わりに、現金で精算するよう求めた。しかしながら、長男は、法定相続分を精算するだけの現金を用意することが出来ないとの回答であった。ただ、何からの解決をしなければならないという思いはもっていた。話し合いの余地があるとみて、会社の資産状況を詳しく聞き取り、調査すると、本体事業に使う工場のほか、賃貸不動産も会社の資産の大きな割合を占めていることが分かった。そこで、会社の株式は長男が取得し、また、会社の資産のうち、本体事業継続の為に必要な資産は会社に残し、それ以外の会社資産、とりわけ、賃貸不動産を、妻と次男に移転する方向での解決を示した。そうしたところ、法定相続人全員が、納得した。結果、会社分割を行い、本体事業を行う会社Aと、不動産賃貸業を行う会社Bに分割した上で、会社Aの株式を長男、会社Bの株式を、妻と次男に相続させることにした。それでも、妻と次男の法定相続分に足りなかったことから、会社Aの株式の一部30パーセントは、妻と次男に相続させた。そのうえで、法定相続人間で、一定期間、妻と次男は、A社株式の議決権を行使しない、但し、その期間内に、長男は、自ら又は会社Aをして、妻及び次男が保有する会社Aの株式を、一定金額で買い取る旨の合意をさせた。これにより、会社Aの経営は、長男の希望通り、長男が承継することが出来、妻と次男も法定相続分の財産を取得することができた。

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中村 傑 弁護士からのコメント

遺産分割協議では、遺産の種類、金額により、一見、うまく分割が出来ないことが多々ある。とりわけ、会社の株式、不動産が主な遺産である場合にはその傾向は顕著である。ただ、そのような場合でもあっても、専門家の知見により、解決方法が見つかる場合がある。ただ、本来なら、被相続人が生前に対策を立てておくべきことであろう。