この事例の依頼主
40代 男性
相談前の状況
私は、古い知人と会社を立ち上げました。私の方が多く出資していました。立ち上げ後しばらくして、会社は軌道に乗りました。しかし、会社の設立前後で株式の保有に関する契約書が二つ出てきてしまい、株式の保有数に争いが生じてしまいました。相手方の言い分によると、私と相手方との比率は50対50で、デッドロックになってしまい、会社を解散せざるを得ない状態になってしまいます。
解決への流れ
どちらも言い分を曲げることはなかったため、裁判所の手続によることになりました。双方側の言い分は真っ向からぶつかりましたが、相手方の拠り所とする契約書が偽造されたものであると認定され、こちら側の言い分が認められることになりました。
非上場会社では、株式に関する争いが起きることがあります。とくに会社設立からしばらくして、会社が軌道に乗ってきてから、争いが顕在化することがあります。本件のように株主が2人で、50対50の保有比率の場合、デッドロックといって、2人の株主が全てぶつかって、株主総会決議で何も決まらなくなってしまいます。この場合、解散の訴えによって、会社を解散せざるを得ないのが原則です。せっかく軌道に乗った会社を解散させることは悲劇です。このような事態を避けるためには、そもそも、会社設立時に50対50の比率を避けることが重要です。もっとも、本件のように、設立後に、50対50の比率だという不意打ち的な主張を受けることもあります。このような場合、解散の訴えしかないと判断する前に、株主権確認請求で打開することができないか検討すべきです。本来であれば、株主権確認請求訴訟で対応することができたケースでも、解散の訴えに行ってしまったという無念な事案もあります。シビアな経営紛争の1類型ですが、まずは、経営紛争を専門とする弁護士にご相談されることをお勧めいたします。