この事例の依頼主
70代 男性
相談前の状況
自身の子が結婚するに当たり、夫婦円満を企図して自身の所有敷地に二世帯住宅を建設し、そのうち一部を区分所有として子の配偶者にも所有名義を与えたところ、子らの夫婦関係が破綻するに至り、結果として共有持分を解消したい事態に至った。もっとも、子の配偶者は共有を解消する意向はなく、居座りを続けており、平穏な日常が害されていた。
解決への流れ
依頼者の資力には多少の余裕があった反面、子の配偶者は借入れを行い、自身の持分について抵当権を設定していたことから、子の配偶者の借入れ部分について第三者として代位弁済を行い、依頼者が求償権を持つことで債権者となるに至り、抵当権も取得した。それに基づき、依頼者が債権者かつ抵当権者として、持分権者である子の配偶者に対し、抵当権実行を示唆したところ、一括返済する余力もなく、かつ新規の借入れも避けたい子の配偶者としては、持分に執着することをやめ、依頼者に対して自身の持分を任意売却するとともに、引越し費用を売却代金から工面して出ていくに至った。
共有にまつわるトラブルは実はとても多く、共有を解消するのは極めて難しいものです。もともとが良好な人間関係を起点にして共有を始めるケースは多いのですが、前提となるその人間関係がおかしくなると、共有関係は足かせ以外の何物でもありません。民法上は共有物分割請求という制度も用意されているものの、可能な限りは交渉にて任意の共有解消を目指したいのが本音ですから、そのために何ができるのかということを1歩先2歩先を見据えて行動することが大切です。