この事例の依頼主
30代 女性
A(依頼者)はBと結婚して8年。小学2年生の長男がいる。Bの父親は鉄筋工事会社をしており、BやBの兄弟など家族で営業している。一定の収入があるのに、Bはなかなか生活費をくれず、Aは、B家族の結束が強いので、なかなかそのことも言えず、足らない分は自分の実家に頼み込み援助してもらったりしていた。その後、Bは戸建て住宅を購入したが、Aや子どもの面倒もみず、親や兄弟との付き合いを中心にしていた。Aはいたたまれなくなり、また居場所もなくなり、この家を出て、実家が経営しているアパートに別居した。そうすると、Bは家の鍵を変え、Aが一歩も入れないようにし、かつ、生活費を要求しても送ってこないなど、籠城攻めにしてきた。さらに、Aの私物はすべて捨ててしまった。Aは生活のために近くの社員食堂で働き始めたが、月額7万円程度で、厳しい生活を強いられるようになった。Aは家事調停を申し立てたが、対立が深まるだけで話し合いにならず不調となった。そこで、今後どうするかということで、相談に来た。
ともあれ、生活費を要求するとともに、すぐに離婚の裁判を申し立てた。裁判では、離婚、親権、養育費、財産分与と慰謝料請求を求めた。養育費は月額5万円、慰謝料を100万円、財産分与を140万円要求した。Bにも代理人が立ち、反訴を提起してきた。反訴請求は、慰謝料として500万円を請求するとともに、養育費額を低額にせよというものであった。慰謝料請求は、このような関係になったのはAのせいであるし、同居、協力義務に違反したのはAであり、別居もAが勝手に出て行ったのであって、そのことにより、精神的苦痛を受けたのはBの方であるというものである。判決は離婚を認め、親権者をAにし、養育費は月額4万円、慰謝料は相互に認定せず、財産分与は婚姻費用の未払いを認め、これを財産分与金とし、192万円の支払を命じた。この判決実現についてはBの代理人を通じ、一括支払いを要求した。その結果、192万円は判決確定後、支払ってきた。この支払によりAは生活を立て直すことができた。
Bの代理人が反訴をしてきたのには驚きましたが、その代理人を通じ、判決内容の実現はできました。裁判にきちんと向き合い、こちらの現実の生活状況をB本人だけでなく、Bの代理人に強く伝えていたのが、結果として協力に繋がったものと理解しています。弁護士がついている間に請求しないと履行は困難と考え、早期に実行したことが良かったと思います。